良いファンドを選ぶための相対的収益とベンチマーク

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国内の上場株式は3000銘柄もあり、公募投資信託も3000本ある。これらの中からどうやって最適の組み合わせを選んだらいいのでしょうか?
サラリーマンが少額から始められる資産運用にファンド(公募投資信託)の購入があります。では、良いファンドとは、どんなファンドでしょうか?今回は、良いファンドを見分ける指標である「シャープレシオ」について解説します。

まずファンドの収益には、絶対的収益と相対的収益があります。絶対的収益とはいつでも年率20%を上昇を目指すというように、絶対的な数値目標を追いかける考えです。

しかし、ほとんどのファンド(公募投資信託)では、相対的収益を目標としています。相対的とは、たとえばTOPIX(東証株価指数)のような特定のインデックスをベンチマーク(目標)として、それを超える運用を目指すことです。

私たちアドバイザーは、そのファンドがどんな指標をベンチマークとしているかで、その特徴をつかみ、ベンチマークをどのくらい上回ってきたかで、そのパフォーマンスの良し悪しを測っています。

絶対的収益を目指すならヘッジファンドに手を出さざるをえません。でも、投資金も高額となり、ハイリスクで運用プロセスに透明性がありません。

相対的収益を受け入れた人にとって、ベンチマークを大きく上回ったファンドが良いファンドということになります。しかも、長期間上回っている必要があります。短期間の価格変動に一喜一憂しないことが、資産運用の基本です。

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投資の効率性を測るためのシャープ・レシオ

長期間、ベンチマークを上回っているファンドが複数あったときには、さらにその中からより良いファンドを選ぶ必要があります。ファンドを厳選するときに、欠かせないのがリターンとリスクのバランスを点検することです。

たとえば、年間リターンが同じ8%のファンドが二つあって、ポートフォリオAのリスクが20%、もう片方のポートフォリオBのリスクが10%だったら、どうでしょう?

後者のポートフォリオBを選んだほうが賢明そうですね。

リターンとリスクのバランスを効率という観点からチェックする考えがあります。そのときに、効率の良さを客観的に測るメジャー(物差し)があると便利ですね。複数のファンドのリターンの数字をリスクの数字で割ることによって、その物差しが手に入ります。

PERやPBRなどが、一般的にはメジャーとして知られていますが、これらは割安か割高かを測るもので、効率性を示している指標ではありません。投資の効率性を語るメジャーは、シャープレシオなのです。


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シャープ・レシオはリスクひとつ当たりのリターンの大きさを示す


リターンから安全資産(たとえば国債)の収益率を引いたものを、そのファンドの標準偏差で除したものがシャープレシオです。リスクを除いたことで、無リスク証券(安全資産)のリターンをいかに効率よく上回ったかを表す数値で、この値が大きいほど優れたパフォーマンスであったと評価されます。

シャープレシオはリスクに見合ったリターンを得ているかを表わす指標で、リスク尺度にリターンのぶれの大きさ(標準偏差)を使用します。

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 シャープ・レシオはこう使う!


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横軸にリスク、縦軸にリターンをとって、二つのファンドの効率性を比べてみる


上の図の例で言えば、リターン8%・リスク10%(δB)のBファンドと、リターン8%・リスク20%(δA)のAファンドとでは、どちらが効率的に運用できているかを、数値で考えます。同じ日本での運用を前提としているので、リスクフリーレートはゼロとして計算します(現実には、海外資産を含めてリスクフリーレートの異なる資産間の比較をしますので、リスクフリーレートを引いて、条件を整えることは大事です)。どちらが効率的か?それはシャープ・レシオを計算してみれば、簡単に判明します。

Bファンドのシャープ・レシオは8÷10=0.8ですが、Aファンドは8÷20=0.4です。

シャープ・レシオを比べてみれば、B>Aですから、ファンドBの方が効率よい資産であることを証明できます。

人気ファンドは効率の良いファンドなのか?

では、現実のファンドで比較をしてみましょう。投資信託のリターン、リスク、シャープ・レシオなどのデータはモーニングスターなどの投信評価機関から公表されています。

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よく売れている日本株の投資信託に「さわかみファンド」があります。日本大型株を対象としています。5年間のトータルリターンが年率7.69%とまあまあのパフォーマンスですが、シャープ・レシオは0.41です。

もうひとつ、同様の投資信託のインベスコにジャパン・エンタープライズと比較してみましょう。こちらは、5年間のトータルリターンが年率18.60%で、素晴しいパフォーマンスを記録していますが、シャープ・レシオは0.89です。この場合には、インベスコ・ジャパン・エンタープライズの方がさわかみより効率的な運用がされていると判断できます。

さわかみファンドは2,630億円も売れていますが、インベスコの「ジャパン・エンタープライズ」の純資産は約6億円で400分の1以下です。効率の良いファンドがたくさん売れるとは限らないのは、このシャープ・レシオを知っている人が少ないからでしょうか?

ファンドのリターンが高くても、ファンドマネージャーがハイリスク投資をしたせいで、高いリターンが達成された可能性があります。リターンが高くて、シャープ・レシオが低いファンドは、運が悪ければまったく正反対の結果(価値の大きな下落)を受けることを覚悟しなければなりません。

リスクを意識することで、幸せになるための資産運用をいたしましょう!

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