資産運用/資産運用をするときの鉄則

【中級向け】資産運用の理論を学ぼう VOL.6 算術平均と幾何平均

リターン(収益率)を算出する方法には、算術平均と幾何平均があります。算術平均と幾何平均による計算方法とその違いを知っておきましょう。

執筆者:橋爪 修司

  • Comment Page Icon

●リターンの計り方

資産運用による投資収益のことをリターンといいます。リターンは利子・配当による収益と元本価値の増減による収益を合計したものです。数期間にわたるリターンの大きさ(収益率)を計る方法を確認しておきましょう。

期間が異なる投資成果は、年ごとの投資収益率を年利ベースの平均値として算出することにより、比較することが可能となります。

年ごとの投資収益率を年利ベースの平均値として算出する方法には、算術平均と幾何平均とがあります。

●算術平均とは単純平均

期間は1年とは限らないのですが、ここでは計測期間の単位を1年ごととして考えます。算術平均による投資収益率は、各期のリターン(率)を単純に平均するだけです。

(A)1年目、2年目、3年目のリターンがそれぞれ1%、5%、3%である場合は、
  (1%+5%+3%)÷3年=3%
として計算できます。

計算が単純明快、簡単にできるのがメリットですね。簡単なだけに各期ごとの変動幅は反映されないのが、デメリットになります。厳密さに欠けるということです。

(B)1年目、2年目、3年目のリターンがそれぞれ-10%、5%、14%と大きく変動する場合も、
  (-10%+5%+14%)÷3年=3%
となりますので、(A)と同じ結果になります。

●幾何平均とは

幾何平均による投資収益率は当初元本を期間ごとの収益率で複利運用したときの平均収益率となります。これは期間中、平均収益率で運用し続けた結果と同じになるということです。

(A)(1+0.01)(1+0.05)(1+0.03)=1.092315の3乗根を計算すると1.029870ですので、1を引いて%に直せば、2.987%となります。

(B)(1-0.1)(1+0.05)(1+0.14)=1.0773の3乗根を計算すると1.025129ですので、1を引いて%に直せば、2.512%となります。

幾何平均では運用の安定度が平均収益率に反映されていることがわかります。
各期のリターンがまったく同じ場合には、算術平均収益率=幾何平均収益率となりますが、各期のリターンの変動幅が大きい場合ほど、算術平均収益率>幾何平均収益率の度合いが大きくなります。


<関連記事>
現在価値と将来価値 【中級向け】資産運用の理論を学ぼう VOL.5

【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で資産運用関連の書籍を見るAmazon で資産運用の書籍を見る
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/3/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます