そこで筆者が行っているのが、「虫の嫌いなニオイ」を生かした精油を使った対策。今回は、普段の生活で実践している「アロマを使って害虫を防ぐ方法」をお伝えします。
害虫タイプ別・おすすめの精油は?
クスノキブロックやキューブなどのグッズと巾着袋は、衣類防虫に役立ちます
「衣類防虫」「ゴキブリ対策」「蚊よけ」と、対策したい害虫によって効果的なアロマは異なります。筆者が害虫を防ぐのに活用している精油を紹介します。
●衣類防虫
・カンファー、ラヴィンツァラ、ローズマリーカンファー
※カンファーとラヴィンツァラはどちらもクスノキ科の精油
・パチュリ
・ラベンダー
樟脳(カンファー)は日本に多く生息するクスノキ科の木に多く含まれている成分。衣類防虫効果があることで知られているため、木工品の衣類防虫グッズも販売されています。パチュリは、シルクロード時代の布貿易において、葉っぱを布の間に挟んで防虫対策をしたという歴史的由来ある植物で、墨汁の香りとしても知られています。スモーキーな香りで、カンファー、ラヴィンツァラのツンとした香りとまた違った特徴があるんです。ラベンダーは、「香りを調整する役目」として活用しています。
また、一般的なローズマリーよりもカンファーを多く含んだローズマリーカンファーという製油もおすすめ。木とハーブ、由来の植物の違いで、カンファーを同じく含むものでも香りが違う点を楽しんでみてください。
●ゴキブリ対策
100均グッズにペパーミントやハッカを垂らして気になるところにおくだけ!
・ペパーミント
・ハッカ
ゴキブリがこれらの香りが嫌いということは、アロマスクール時代に講義で聴いてから活用しています。サシェや容器に精油を垂らしたものを置くだけで効果を発揮するのでおすすめです。
実は、ペパーミントは致死にも役立つ、と聴いたことが忘れられず、昔、ゴキブリの通り道に使用期限が過ぎて余ったペパーミントを垂らしたことがあります。期限切れだったのでドバっとやったところ、激しく動いた後に、ゴキブリが力尽きました。時間がかかったのでおすすめはしませんが、手元に何もない時でもペパーミントやハッカがあればゴキブリ対策が可能なのだと頭の片隅に置いています。災害時や、何かの時には知っておくと良い知恵ですよ。
●蚊よけ
・レモングラス
・シトロネラ
・ユーカリ
ユーカリには、蚊が嫌いなスっとするニオイが含まれておりおすすめです。レモングラスやシトロネラは、蚊が嫌う「シトラール」「シトロネラール」というレモン調の成分が含まれていることから蚊よけハーブとして知られています。これらはユーカリとブレンドしても相性がよく、空間に広がりも良くなるので、筆者はこれらのブレンドを長年使っています。
精油を用いる2つの方法!「サシェ」と「スプレー」の作り方
精油で害虫を防ぐには、効果を最大化するグッズが必要。今回は「アロマサシェ」と「アロマスプレー」の作り方を紹介します。
●「アロマサシェ」の作り方
古布、クスノキブロックなど、精油が垂らせるものを巾着袋にいれます
精油を直接垂らす「サシェ」になるグッズを用意しましょう。使うのは100均グッズや古布でOK。「精油が垂らせるもの」を100均で買える「巾着袋」に入れれば、使いやすく汚れ防止にもなるサシェの完成です。
●「アロマスプレー」の作り方
アロマスプレーをアロマサシェにシュッと吹き付けて使うこともできます
アロマスプレーは使いたい目的に応じて、精油の処方を変えるだけでいろんな目的のものを作ることが可能。自分で作ることができればコスパも良いのでぜひ作ってみてください。
基本の作り方は、無水エタノールに精油を垂らすだけ。精油OKのスプレーボトルの容量に合わせて無水エタノールを注ぎ、適量の精油を垂らせば大丈夫です。精製水などを使う方法もあるので、詳細や注意点は以下の記事でご確認ください。
参考:マスクスプレーの作り方!アロマの香りで抗菌効果・リフレッシュもを参照(記事リンク)
サシェとスプレーで害虫対策!効果的な活用法は?
アロマサシェ、アロマスプレーはさまざまな防虫シーンに活用可能。「衣類防虫」「ゴキブリ対策」「蚊よけ」にどのように活用すればよいのか紹介します。
●衣類防虫
アロマサシェを活用すれば、旅行先での衣類防虫も可能。衣類バッグ用、ハンガー用など、いくつか用意しておくことで、ホテルや宿泊する場所でも活用できます。日頃からタンスに入れておくことで、香りがついた衣類を着用して移動するのも良いでしょう。使用する製油は、カンファー、ラベンダー、パチュリを各1滴ずつがおすすめです。
アロマスプレーを使う場合、無水エタノール50mlに対し、精油を10滴ほど垂らして1%のアロマスプレーを作るのがおすすめ。カンファー5滴、パチュリ2滴、ラベンダー3滴などが配合の例になりますが、パチュリは少し色があるため、布にスプレーする場合はシミが気になる人は抜くようにしてください。その場合は、カンファー7滴、ラベンダー3滴などがおすすめです。
具体的な使い方ですが、ホテルの寝具やじゅうたんなど、気になるところにミストすればOK。スプレーを持ち歩けば、サシェに香りを足すことにも使えます。
●ゴキブリ対策
石膏を固めて作られたアロマストーンはケースや袋にも入れやすく、隙間にも使えてゴキブリ対策にも便利
アロマサシェを使う場合、100均グッズの容器に重曹やポプリなどを入れて精油を垂らせばOK。大さじ1程度の重曹に1滴で大丈夫とも言われているので、容器の大きさに応じて、適量を垂らすようにしましょう。キッチンの引き出しなどは、アロマサシェをそのまま入れても良いでしょう。ゴキブリが出そうな場所に潜ませると効果的です。
●蚊よけ
吊り下げるものによって巾着袋の大きさを変えると、より目的に合ったサシェ使いができます
アロマサシェは、玄関など、サシェを引掛けられて窓が開く場所に吊り下げてください。ベビーカーやペットのバギーなどにぶら下げるのも良いでしょう。
アロマスプレーを用いる場合の配合は、無水エタノール50mlに対し製油20滴程度がおすすめ。使う製油は、シトロネラまたはレモングラス15滴、ラヴィンツァラ5滴程度が良いでしょう。
アロマスプレーができたら、網戸や足元など、気になるところにシュッとミスト! シトロネラもレモングラスも若干色がある精油があるので、衣類が気になる方は気を付けてください。少し肌に刺激がある場合もあるので、肌が弱くて気になる人はパッチテストをしてから使ってくださいね。
トコジラミにはオレガノが役立つ?
数あるトコジラミ対策情報の中でも、AEAJ(公益社団法人 日本アロマ環境協会)が出していた情報を紹介します。AEAJによれば、ディート(合成防虫剤)とオレガノの精油の忌避を実験した結果、オレガノは有効であったとのこと(※1)。スパイスの精油は学術上殺菌効果に優れており、忌避剤としては有効なのだと考えます。ですが、オレガノは皮膚刺激が強い精油なので、使うときは皮膚に触れないよう注意しましょう。また、精油がなくても、オレガノを含むスパイスでアロマサシェを作って活用するのもいいかもしれません。
今回紹介した方法は、筆者が約20年実施している生活の知恵です。こちらを踏まえて、活用していただく際は、ご自身にお役に立つように活用方法をアレンジしていただけるとうれしいです。
※1:公益社団法人 日本アロマ環境協会ニュースレター『天然の香りで虫対策!アロマのトコジラミに対する忌避作用』