強壮剤ビターズが海軍に愛される

 
ジン・ビターズ

ジン・ビターズ

前回『ジン・栄光の歴史5』では、海軍の酒ジン、そしてカクテル「ジン・ライム」のはじまりについて語った。イギリス海軍が長い航海時のビタミンC不足、壊血病対策のために、ライムという果実を重要視したのである。
ジンやラムとイギリス海軍のエピソードはとても興味深い。健康のために、と都合良く飲まれていたような気にさせる面白味がある。
「ジン・ライム」ともうひとつ、彼らが身体を守るために飲みはじめたカクテルがある。「ジン・トニック」がインドで、イギリス東インド会社の社員たちによって、マラリア治療薬(『ジン・栄光の歴史3』参照)の味の悪さをごまかすために生まれたように、「ジン・ビターズ」(別名ピンク・ジン)も同じような理由で誕生する。
1824年、ドイツ人医師J.G.ジーゲルト博士が、南米ベネズエラのアンゴスチュラ(現シウダ・ボリバル)という町で強壮剤を生みだした。
これは現在一般にビターズ(bitters)と呼ばれる苦味酒である。リンドウの根やハーブ、スパイスなどからつくられたもので、現在「アンゴスチュラ・ビターズ」という製品になっている。
ビターズは消化器不良、マラリアをはじめあらゆる症状に効く治療薬とされた。当初「アマルゴ・アロマティコ」の名でイギリスに輸出すると大好評となる。イギリス海軍もすぐに目をつけた。
 

ジン・ビターズは船酔い対策カクテル

 
ジャパニーズクラフトジンROKU

ジャパニーズクラフトジンROKU

ただし、強壮剤としてではない。ビターズに使われるリンドウの根の成分は消化促進、精神安定、風邪予防などの薬効があるとされるが、海軍はこれを船酔いの薬として重宝したのである。そしてこのビターズの刺激、苦味を緩和するためにジンに少量ミックスするようになった。
海軍の将校たちはこのカクテルを好んで飲んだ。彼らが自分の身体のために飲んだのかどうかは確かではない。違う酔いをもたらしたことだけは確かである。
いつ頃から「アンゴスチュラ・ビターズ」と呼ばれるようになったかは定かでない。現在はカリブ海のトリニダード・トバゴが生産拠点となっている。

さて「ジン・ビターズ」。多くのカクテルブックに掲載されているレシピをわたしは好まない。今回はわたしの味わい方をお伝えしておく。
「ジャパニーズクラフトジンROKU(六)」(700ml・47%・¥4,000税別希望小売価格)を冷凍庫でキンキンに冷やす。それをグラスに半分だけ入れる。ここでビターズを3滴落とし。そこにまた 「ROKU」を注いでグラスを満たす。決していじってはいけない。ステアなどしない。ビターズとジンが自然と混ざり合い、淡いピンク色に染まったところを味わう。別名「ピンク・ジン」といわれる理由がよくわかる。
これが「ジン・ビターズ」のいちばん美味しい飲み方だと思っている。(次回、ジン・栄光の歴史7へつづく)
 

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