世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ローマ歴史地区/イタリア・バチカン(5ページ目)

地中海沿岸部をグルリと征服して空前の大帝国を築いたローマ帝国。首都ローマは世界でもっとも豊かな都市となり、コロッセオ、パンテオン、カラカラ浴場といった奇跡的な建物が次々と建設された。それから千年以上を経た15~16世紀にはルネサンスの中心となり、芸術の都として蘇る。今回はイタリア/バチカン共通の世界遺産「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ローマ歴史地区の7大名所 7. サンタンジェロ城

サンタンジェロ城

サンタンジェロ城。左右の天使像はサンタンジェロ橋のもの。教皇は危険が迫るとたびたびこの城砦に待避しており、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂と秘密の地下道でつながっているともいわれるが、真偽は不明

サンタンジェロ城

見るからに堅牢なサンタンジェロ城。現在は武器博物館として公開されている

ハドリアヌスが自分の霊廟として建設し、完成後は代々ローマ皇帝の墓として使用された。5世紀にアウレリアヌスの城壁に組み込まれると改修・増築されて堅牢な城砦となった。

頂上に立っているのは大天使ミカエルの像で、6世紀にペストが猛威を振るったときに教皇グレゴリウス1世がこの城でミカエルを見て、その後ペストが収束した伝説にちなんで設置された。 

サンタンジェロ城の脇の橋はサンタンジェロ橋で、ベルニーニの作品を含めた10体の天使像が橋を飾っている。

 

ローマ歴史地区への道

フォロ・ロマーノのアントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿

フォロ・ロマーノのアントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿。五賢帝のひとり、アントニヌス・ピウスが亡き妻ファウスティナのために141年に築いた神殿。彼の死後、マルクス・アウレリウス・アントニヌスがふたりを一緒に祀った

■エアー&ツアー情報
旅の起点はもちろんイタリアの首都ローマ。アリタリア航空が成田から直行便を出しているほか、北京、ドバイ、アブダビ、モスクワなどを経由するさまざまな便がある。

■周辺の世界遺産
ローマ市内に世界遺産「バチカン市国」がある。サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂は必見だ。

近郊のティヴォリには「ヴィッラ・アドリアーナ[ティヴォリ]」「ティヴォリのエステ家別荘」があり、タルキニアには「チェルヴェテリとタルキニアのエトルリア古代都市群」がある。いずれもローマから日帰りツアーが出ている。

イタリアは世界でもっとも多くの世界遺産を有する国。工夫次第では1週間程度の旅でも10か所以上の世界遺産を訪ねることができる。

ローマ歴史地区のベストシーズン

夏の平均最高気温は約30度、最低気温は17度、冬の平均最高気温は約12度、最低気温は2度と、ローマの気温は東京とさほど変わらない。

降水量は日本と反対で、冬に多く夏に少ない。夏は乾燥しているため東京より格段にすごしやすい。雨が多いのは9~2月で、特に10~12月が最盛期となる。といっても日本でもっとも降水量の多い9~10月の2/3程度だ。

世界遺産基本データ&リンク

サン・セバスティアーノ門

3世紀に建設され、アウレリアヌスの城壁に組み込まれたサン・セバスティアーノ門

【世界遺産基本データ】
登録名称:ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂
Historic Centre of Rome, the Properties of the Holy See in that City Enjoying Extraterritorial Rights and San Paolo Fuori le Mura
国名:イタリア/バチカン市国
登録年と登録基準:1980年、1990年拡大、文化遺産(i)(ii)(iii)(iv)(vi)

【関連サイト】
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