秋のバルヴェニーは、キッスの前に
バルヴェニーの貯蔵庫
徹底したクラフトマンシップを貫いて誕生する深みのある熟成感に魅了されているウイスキーファンは多い。実はわたしは「バルヴェニー12年ダブルウッド」のファンで、数あるシングルモルトの中で、味わう頻度がとても高い一瓶である。はちみつのような甘美さ、贅沢なまでの滑らかさがある。
『バルヴェニー蒸溜所/古典ともいえるモルトづくり』の記事に述べているが、丁寧なつくり込みによって熟していった香味は“秋のグレンフィディック”と表現され、豊かな実りを想起させる。食後酒として、また夜更けのウイスキーとしてふさわしい印象を宿している。その香味感覚はつくり手側の想いを超越して、欧米のファンの間では、甘くしなやかなイメージが恋の小道具としての役割を担っているようだ。
“キッスの前に、バルヴェニー”。こんな粋なフレーズで囁かれ、甘美さが大人の恋の陶酔へと誘う。接吻など、遠い昔の花火になってしまったわたしには、そんなフレーズはどうでもいいことだけれど、読者の皆さんは、素敵に囁いてみてはいかがだろう。他人事だから、結果はどうあれ是非にお試しいただきたい。キスできなくても、バルヴェニーの味わいは美味しい。
では4本のボトルを紹介しよう。
THE BALVENIE 12Years DOUBLE WOOD
ザ・バルヴェニー12年ダブルウッド
バーボン樽で熟成させたモルトウイスキーを、さらにシェリー樽に詰め替えて熟成。ダブルウッドの名が示す通り、2種の樽で熟成したそれぞれの特長が絶妙に調和している。
色 赤みを帯びた深い琥珀色
香り 甘く繊細な熟成香
味 深みのある力強いコク
フィニッシュ シェリー樽由来の豊かな余韻
THE BALVENIE 14Years CARIBBEAN CASK
ザ・バルヴェニー14年カリビアンカスク
バーボン樽で熟成したモルトウイスキーを、さらにカリビアンラム熟成に使用した樽に詰め替えて後熟。バニラ様の甘さにラムの樽ならではのコクが相まって、トロピカルフルーツのようなまろやかなコクが感じられる。
色 深い金色
香り クリーミーなトフィー・フルーティーな熟成香
味 バニラ・トロピカルフルーツ
フィニッシュ 温かみのある、まろやかな余韻が長くつづく
THE BALVENIE 17Years DOUBLE WOOD
ザ・バルヴェニー17年ダブルウッド
バーボン樽で熟成したモルトウイスキーを、さらにシェリー樽に詰め替えた熟成させた17年もの。はちみつ様の甘さがありながらスパイシーな感覚にあふれ、重層的な厚みのある味わいが特長的な逸品。
色 深い琥珀色
香り はちみつ・アーモンド
味 甘くスパイシー
フィニッシュ 滑らかで豊かな余韻
THE BALVENIE 21Years PORT WOOD
ザ・バルヴェニー21年ポートウッド
21年以上熟成させたモルトウイスキーをポートワイン樽で後熟させた逸品。繊細な甘美さ、優美さを奏でながら、深い重層感に満たされる香味は、特別な日に、こころの壷をじっくりと潤すのにふさわしい。
色 深いローズ・ゴールド
香り 甘いはちみつ様の豊かな香り
味 甘美で重厚なコク
フィニッシュ 長く豊かな余韻
では、グレンフィディックとバルヴェニーを飲み比べて、春と秋の味わいを満喫していただきたい。
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