親世帯の一番の不安は「子世帯に介護の負担をかけるのではないか」
「息子夫婦同居の子世帯・妻」つまり、お嫁さんの心配ごとが「嫁姑関係」であることは前ページで説明しました。しかし、親世帯の全体として見ると、嫁姑関係は一番ではありません。親世帯全体の傾向としていえるのは、「介護」に関する不安が大きいことです。二世帯住宅で子世帯と同居することで、将来、介護の負担を押し付けてしまうのではないかという心配が最も大きな割合を占めているようです。
親世帯の不安として大きいのは「介護」に関すること。将来、子世帯に介護の負担を押し付けてしまうのではないかと、と心配しています
母にとっては「子世帯の孫育て」も不安の対象に
最近の傾向として、子世帯の共働きが増えるのにつれ、娘夫婦同居も増加しています。実の親子である娘夫婦同居の場合でも、あらためて同居するとなると、その不安内容は実に多岐にわたっています。特徴的なのは、親世帯の母では孫育てに関連した項目が上位に上がってきていることです。孫育てに協力したい気持ちはあるものの、「孫育ての負担が心配」、「子世帯のために張り切って疲れるのでは」といった不安を抱き、「実の母娘関係は遠慮がなくて大変」という心配もしています。娘のために協力したいという気持ちがありつつも、同居後の生活のさまざまなシーンを想像し、同居前に不安な気持ちになったり、心配のタネを抱える結果になっているのではないでしょうか。
従来からあった「生活リズムの違い」や「干渉」といった、二つの異なる世帯が一つの建物に暮らすことで起こる不安だけでなく、同居の暮らしが「いかに分けるか」から「いかに協力するか」という意識に変わってきたことにより、不安の中身も変わってきているようです。
孫とのふれあいは楽しいことですが、毎日張り切り過ぎでは疲れてしまいます。無理なくできる範囲で子育て協力することが秘訣のようです
9割の人が同居前の不安を解消している
このように、親世帯・子世帯を問わずほとんどの人が同居前に不安を感じており、その中身は嫁姑のことから介護、孫育てまで広い範囲にわたっていることがおわかりいただけたと思います。では、実際に同居を始めた方は、同居前の不安をどのようにして解決していったのでしょうか。
へーベルハウスの二世帯住宅に居住している人に行った調査では「同居前に不安があり、現在も問題が残っている」という方は、子世帯・妻全体でもわずか10%に過ぎませんでした。
これは、二世帯住宅を建てた結果、「家が完成したら不安がなくなっていた」というわけではありません。抱えている不安の一つひとつを見つめ、その不安を解決するための方法を、家づくりのプランニングに盛り込んだからにほかなりません。つまり、不安を解消するためのプランニングノウハウが非常に重要であるといえます。
はじめての同居で不安を感じることは当然だと思いますが、「家のつくり」に配慮することで解決できることも多くあります。まずは相談をしてみることをおすすめします。
次回は、不安を解消するための住まいのプランニングやテクニックについてご紹介しましょう。
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