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ウイスキー&バー/ウイスキー、おススメのこの一瓶

ライウイスキーはアメリカンウイスキーの原点

「ノブクリーク ライ」が6月2日に新発売されるが、ライウイスキーとは、なんぞや、とともに「ジムビーム ライ」や「ワイルドターキー ライ」など、いろいろ味わっていただきたい。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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移民たちが最初につくったウイスキー

ノブクリーク ライ

ノブクリーク ライ

アメリカのウイスキーづくりは不良土壌でも育つライ麦を主原料にしたライウイスキーからはじまった。おそらく17世紀後半のことだろうと思う。ヨーロッパからの移民たちペンシルベニア、メリーランド、バージニアといった州でつくりはじめた。
ウイスキーだからスコットランドやアイルランドの移民が最初だろう、と考えてしまうのはウイスキー・ファンの悪いところ。たとえばバーボン世界No.1の販売量を誇る「ジムビーム」の創業者ジェイコブ・ビーム(ヤコブ・ボーム)はジャーマン・アメリカン、ドイツからの移民である。
なんでドイツ系がウイスキーをつくるんだ、と思われるかもしれない。昔からドイツ語圏の地域ではシュナプス(蒸溜酒)がつくられ、小麦やライ麦を原料にするコルン(Korn)という蒸溜酒がある。オランダにはジンがある。お国は違ったとしても蒸溜技術があればウイスキーはつくれる。
そのあたりのことは、わたしの連載エッセイ『アメリカの歌が聞こえる第23回/ウイスキー・ボーイ』で述べているので一度お読みいただきたい。
「ジムビーム」に限らず、たとえばケンタッキーのバーボン・ブランドでは「オールド・グランダッド」のベイゼル・ヘイデン、「I.W.ハーパー」のアイザック・ウルフ・バーンハイム、ライ・ブランドではペンシルベニア州の「オールド・オーバーホルト」のオーバーホルト家など、ジャーマン・アメリカンの創業者は多い。

ジムビーム ライ

ジムビーム ライ

アパラチア山脈の東側、独立時の13州はライウイスキーが飲まれ、18世紀末からケンタッキーでトウモロコシを主原料にバーボンウイスキーがつくられはじめるが、19世紀はアメリカンウイスキーといえばライウイスキーであった。
19世紀末のライ興隆時にライ麦が高騰する。生産量も減っていくなかでウイスキーにまわすライ麦の量が不足していく。
ライ衰退を決定的にしたのが20世紀に入ってからの禁酒法である。バーボン業界は禁酒法撤廃後にビーム家が再生に向けて大きな役割を果たしたが、ライ業界は復活がうまくいかなかった。1950年代には衰退は明らかとなり、60~70年代にはライウイスキー製造から撤退するメーカーが相次いだ。

とてもセクシーなノブクリーク ライ

ワイルドターキー ライ

ワイルドターキー ライ

そして21世紀のいま、アメリカで再びライウイスキーへの人気が高まりつづけている。
バーボンの味わいには馴染んでいる日本人だが、ライをたくさん飲んでいる人というのは少なかろう。日本人でライを知っていたとしても、カクテルベースとしての存在としてではなかろうか。
アメリカンウイスキーはバーボンというイメージが強過ぎるから、ライ麦由来のスパイシーさをすんなりと受け入れられないかもしれないが、ハーブ的、あるいは紅茶のような感覚を好ましく感じられれば、きっとファンになるはずだ。わたしはウイスキーを幅広く楽しんでいただきたいと願っている。ライウイスキーも是非味わっていただきたい。

おすすめはこの6月2日に日本新発売となる「ノブクリーク ライ」(750ml・50%・¥4,600税別)。これまでライを飲んだことのある方ならば、その洗練に驚かれるに違いない。甘いハーブの感覚、クラフト思想ならでの複雑なコクがありながら軽快さもある。とてもセクシーな香味で、虜になるような危うさもある。
わたしは素晴らしい味わいだと思う。50%のアルコール度数の高さも感じさせない、しなやかさがある。詳しくは『ノブクリーク ライ日本新発売6/2』をお読みいただきたい。
その他には「ジムビーム ライ」(詳細は『ジムビーム/バーボン、偉大なる血族の記録』2ページ目参照。700ml・40%・¥1,670税別)、「ワイルドターキー ライ」(700ml・40%・¥2,800税別)などもお試しいただけたなら嬉しい。
アメリカンウイスキーの原点の味わいを知っておくのもいい。ウイスキーの世界を広げていただきたい。

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