緑の大地を連想させるスモーキーフレーバー
さてシングルモルト「カネマラ」について話そう。ノンエイジと12年ものがあるが、まずは製品名。カネマラとはアイルランド西部の大西洋に面した地で、入り組んだ海岸線や湖に囲まれた荒涼の美と表現される風光明媚な場所である。ここはかつてピートの採掘地として知られていた。つまり前ページで説明した古くはブルスナ蒸溜所(キルベガン蒸溜所)においてピートを焚いていたのだ。一般にアイリッシュウイスキーはスモーキーフレーバーが無いとされるが、その昔のアイリッシュはピーテッド麦芽を使用していたのである。
製品名「カネマラ」はその懐古を込めて名づけられたもので、だからピーテッドモルトなのである。
ではその香味。かつて記事にしたアイラモルトの「ラフロイグ」や「ボウモア」と飲み比べるととても面白い。まだお試しになっていない方は是非試していただきたい。おそらくスモーキーな香味の楽しみのひとつに、このアイリッシュのピーテッドシングルモルトが加わるはずだ。
ちなみに麦芽のフェノール値は14ppm。熟成樽はすべてバーボン樽である。
カネマラ(ノンエイジ)
カネマラ
700ml・40度・¥4,200(税別)
4年、6年、8年熟成のモルト原酒をブレンド(ヴァッティング)。
4年熟成モルトはフレッシュともいえる若々しく勢いのあるピーティーな感覚がある。6年熟成となるとほのかにフルーティーさの華やぎ、バーボン樽由来のバニラ様が感じ取れる。そして8年を経たモルト原酒はバーボン樽由来の甘みがしっかりと感じ取れる。
これらがミックスされた香味は、ピーティーさとともにフルーティーな香りが際立つ。味わいはハチミツのような甘さもあり、それがバニラやチョコレートの風味へと変化していく。複雑さがありながらアイラモルトに比べるとスムーズな口当たりといえる。
カネマラ12年
カネマラ12年
700ml・40度・¥9,700(税別)
長期熟成ながら色はかすかに緑がかったような淡いゴールドが印象的だ。色は濃くない。
12年熟成によりモルティな感覚が深まったなかにピーティーさやウッディさがそよぎ、香りは奥深くバランスがよい。味わいはスムーズながら複雑で、スパイシーさのなかからアーモンドやビスケット、バニラのフレーバーが浮かび上がってくる。余韻には独特の緑の大地を連想させる爽やかさが感じられ、とても魅力的だ。
こちらもアイラモルトに比べると軽快な飲み口である。
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