なぜ空気が大事かというと、それはずばり、私たちの生命維持にももっとも密接にかかわっているからです。たとえば、食べ物を食べずに水だけ飲んでいても、個人差はあれ、1か月程度は生きていけるといわれています。飲み水を飲まなければ数日で死に至るといわれていますが、空気はどうでしょうか。私たちは、息を止めたら、数分もしないうちに意識を失ってしまうでしょう。
なんのために「呼吸」してるの?
なんのために呼吸してるの
肺の血管を流れる血液の量は、全身の血管を通る血液とほぼ同じです。そして呼吸は、人間が生きている限り、眠っている間もとまることなく続けられるものです。
呼吸を止めることができないからこそ、私たちが日々、「どんな空気を吸っているのか」ということは、健康状態に大きく関係してきます。「森林浴」という言葉がありますが、あれは、自然の中で汚れていないきれいな空気を肺いっぱいに吸い込んでリフレッシュする、という意味です。
「きれいな空気」って何?
「きれいな空気」と言いますが、具体的には、「粉じん濃度の少ない空気のこと」を指します。一般家庭やオフィスビルなどでの空気には安全基準が設けられており、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」で、室内環境基準において浮遊粉塵の量が0.15mg/m3以下と規定されています。きれいな空気と汚れた空気では何が変わってくるかというと、健康にかかわるあらゆることが変わってきます。
まず、空気が汚れていると、免疫力が低下します。療養所などが郊外の空気のきれいなところに設けられるのは、そのためです。あとは、アレルギー体質の悪化が言われています。建物の壁に使われている合材などでアレルギーを起こす「シックハウス症候群」も近年では問題になってきていますし、花粉症だけではなく、ハウスダストやダニのアレルギーの子供も、最近増加傾向です。人体にとって有害な物質や病気を引き起こすダニなどがいる空気を吸い続けることで、何年か経ってから重篤な疾患にかかってしまうという人も少なくありません。
気をつけるべきは、寝室&家の中の空気
「自分の周りの空気を全てきれいにする」のは、かなり難しいこと。でも一番大切なのは、長時間滞在する「寝室や家の中の空気」です。たとえば、一日6時間睡眠だとすると、1年のうち3か月は寝ている部屋の空気を吸い込んでいることになります。家にいる時間が長い人、赤ちゃんや専業主婦の人は、1年で計算したら、半年以上は家の中の空気を吸っていることでしょう。では、あなたの部屋の空気は、どれくらい汚れているのでしょうか?「いつもきちんと掃除をしているから大丈夫」と思いがちですが、決してそうではありません。たとえば、住宅街の路上、満員電車、閉めきった部屋の中の空気を比べたとき、一番空気が汚れているのは、実は、「閉めきった部屋の中」なのです。
満員電車の空気もかなり汚れてはいますが、駅に着くたびに人の出入りがあり、ドアが開閉するので、汚れた空気が中にこもってしまう家の中に比べると、まだマシなのです。特に、窓をあけない冬場の部屋の空気は、かなりよごれています。