東洋のガラパゴスで飲む
店内のカウンター側
東京本土、竹芝桟橋から約1000キロ。同じ東京都である伊豆諸島のはるか先、小笠原諸島の父島までは船で25時間30分もかかる。都内の移動なのに、6月にはじまるサッカーW杯のブラジル大会に観戦に出かけるような感覚といえる。戦後はアメリカ統治となり、1968年に日本に復帰しているが、アメリカの香も残る興味深い島だ。
空港のないこの父島をわたしは素敵だと思う。東洋のガラパゴスといわれるくらいなのだから飛行場とかゴルフ場っていうのはないほうがいい。ただし、これは旅人側の勝手な言い分なのかもしれない。
片岡大志氏
そんな東洋のガラパゴスにもバーがある。そのひとつ、父島の母港、二見港のすぐ近く、メインの海岸通りにある『バー クレヨン』(BAR CREYON)を紹介する。
店に入ってすぐにカウンター席があり、背後の書棚の向こうにはテーブル席が広がっている。オムライスやピザ、パスタ、ステーキに地魚料理と食も充実しているレストラン・バーである。といいつつ、わたしは何も食べてはいないが、かなり美味しいとの評判だ。
ウイスキーは長旅をする
楽園とバナナン
調子に乗って『バナナン』も飲む。バナナリキュールにこの島のバナナも加わり、さらにミルクというレシピの一杯だ。バナナミルクであるから美味しいに決まっている。特産の島ラムや島バナナを使ってつくっているところがいい。父島で飲んでいるって心地がまた美味しさを高める。
飲んだシングルモルト
そして島の人たちの暮らしぶりを聞かせていただきながら飲むと、東京は、日本は広い。島の良さだけでなく、この島が抱えている問題点など、知らない日本がまだまだたくさんある。そして昔々の船の時代、港近くにあるバーがいかに重要な社交場であったか、外交の場であったかを再認識する。
東京都小笠原村父島東町無番地
tel.0499-2-2093
19:00~3:00 不定休
チャージ無し、ウイスキー¥620~、カクテル¥520~、楽園・バナナン¥730
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