ボディケア/ボディケアの基礎知識

腸内美人は健康美人(2ページ目)

美人は腸で作られていることを、ご存じですか。健康美人は腸内美人。腸の中をキレイにキープし続けることが、いつまでも健康で美しくいるための秘訣です。では、腸内美人は、どうやってつくられるのでしょうか。今回は、今日から簡単に腸内美人になれるヒミツについて伝授いたします。

山下 真理子

執筆者:山下 真理子

ボディケアガイド

腸は「第二の脳」

腸内環境の乱れと便秘について話してきましたが、腸には、意外と知られていないもうひとつの大切な働きがあります。腸は、栄養の消化吸収に関わっているだけではなく、脳神経とも密接なかかわりがあります。腸は「第二の脳」とも言われています。

腸は、腸内に入ってきたものを消化吸収するだけではなく、有害か無害かを認識します。そして、それをパターン化して記憶する免疫機能としての働きもあるほか、喜怒哀楽などの感情を引き起こす「神経伝達物質」の生成に関わったりなど、まるで脳のような働きをするのです。

腸で作られる神経伝達物質のひとつに、「セロトニン」と呼ばれるものがあります。セロトニンの働きは、大きくみて次の3つ。

・ストレスを軽減させる
・満腹中枢を刺激して、食べ過ぎを防ぐ
・睡眠導入のときに働いて、深い眠りに導く

とくに、ストレスに対しての作用のおかげで、セロトニンは「ハッピーホルモン」とも呼ばれたりします。セロトニンが不足すると、イライラしやすくなったり、鬱の症状が出やすくなったりすることもわかっています。このセロトニンは、95%が腸内で作られます。生活習慣の乱れなどで腸内環境が乱れていたら、セロトニンの産生が低下し、よりストレスを感じやすくなります。眠れなくなったり、暴飲暴食の原因になったりもします。ストレスや暴飲暴食は、腸に負担をかけて、腸内環境の乱れの原因になりますが、続けていると、さらにセロトニンの産生までも低下して、よりストレスを感じやすくなりなどの悪循環が起こってしまいます。

腸内環境の乱れは、美容に影響するだけではありません。みなさんが毎日ご機嫌に過ごすためにも、腸内環境をととのえておくこと、腸内美人でいることは、とても重要です。

セロトニンだけではなく、他にもさまざまな神経伝達物質が腸内で作られています。放っておくと、便秘だけではなく、さまざまな不調が現れます。たかが腸、と甘く見るのではなく、まずは腸をキレイにすることが、健康美への最大の近道なのです。

腸内美人になるには、たっぷりのお水を。

では具体的に、腸内美人になる、腸内環境を整えるためのハウツーをお話ししていきたいと思います。

まずは、「お水をしっかり飲むこと」。どんなに食生活などに気を遣っていても、水分摂取量が少ないと便秘になります。腸内環境と聞くと、すぐに「食物繊維」「善玉菌」というキーワードが浮かびがちですが、まず第一に大切なのは、水分をしっかり摂取できているかどうかです。逆に、水分摂取量が少ないまま食物繊維をたくさん摂取した場合、余計に便秘がひどくなってしまうこともあるのです。

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とがあり、腸を刺激する作用のある不溶性食物繊維を大量に摂取すると、すでにバランスを崩している腸に過剰な刺激が加わり、便秘や下痢を繰り返してしまう可能性があるのです。

大腸をはじめとした消化管では、飲み食いしたものの消化吸収だけではなく、水分の再吸収も行われています。腸が弱っているときに下痢をするのは、水分再吸収がうまく行われず、便に含まれる水分が過多になって起こります。

私たちの身体は、何もしなくても水分を消費しています。汗をかいたりトイレに行ったりしなくても、皮膚の表面からは常に水分が蒸発しています(これを「不感蒸泄」と呼びます)。また、身体の中で起こっている細胞の代謝には、常に水が使われています。トイレに行ったり汗をかいたりしなくても、私たちの身体からは1.3~1.5リットルの水分が失われています。摂取水分量が、身体から失われている水分量より少ないと、さまざまな不調が現れます。大腸からの水分再吸収がすすんで、便はかたくなり、便秘になりやすくなります。この時大腸から吸収した、老廃物の多い水分によって私たちの身体の細胞が潤されるわけですから、当然ながら、肌荒れや代謝の低下につながります。

WHOの基準では、成人であれば1.5リットル~2リットルの水分を摂取するように推奨されているのは、そういった理由があるのです。

もちろん、どんな水分を摂るかも大切。お茶やジュースなどは、水分吸収を阻害してしまうような成分が入っていることがあるので、できればお水が理想です。水道水をがぶ飲みすると、水道水に含まれる塩素によって身体のタンパク質や摂取したビタミンがダメージを受けてしまうので、浄水を飲むようにしましょう。

腸内美人に効く、お水とお茶の選び方

水分摂取をするときの飲み水の選び方ですが、浄水が大切です。

水道水をがぶ飲みする人は少なくなっていますが、「日本の水道水は安全」と思われがちですが、実はそうではありません。確かに、上下水道が完備した日本では、水道水を飲んですぐにおなかを壊すことはめったにありません。浄水場で、塩素とアルミで殺菌消毒されているからです。けれども殺菌の為に投入されている塩素は、タンパク質やビタミンを壊してしまい、健康によくありません。飲み水だけではなく、水道水でお米を洗うだけで90%以上の栄養素が壊れているといわれています。

浄水場を出た水は、水道管を通って貯水槽でいったんためられてから各家庭に運ばれるわけですが、水道管の多くは老朽化しており、鉄さびなどの問題があります。また貯水槽は屋外に放置されているケースが多く、雑菌だけではなく、動物の死骸などがたくさん紛れ込んでいます。この他にも、塩素とアルミだけでは除去できない有害化学物質なども水道水には含まれています。煮沸しても除去できない微生物もたくさん発見されており、ミネラルウォーターや浄水器を賢く使うことが、浄水を飲むコツです。

では、腸内美人に有効なお茶とは、どのようなものがあるでしょうか。

先にお話ししたとおり、お茶に含まれる成分の中に、、水分吸収を阻害するような成分もあるので、お茶ばかりを飲むことは、腸内美人にはつながりません。けれども、お茶を「腸をキレイにする栄養補給」として摂取することは、腸内美人になるコツの一つでもあります。

最近では、コンビニやスーパーなどにも、実にさまざまな種類のお茶が並ぶようになりました。中にはちょっと変わった種類のお茶も、お手軽に試せる時代になりました。その中でも、腸内美人を目指すあなたに私がオススメしたいのは、緑茶です。

緑茶には、整腸作用のあるポリフェノール、カテキンが豊富に含まれているからです。大腸に届いたカテキンは、腸内環境を善玉菌優位に変えてくれる働きがあります。悪玉菌の働きを抑えてくれるからです。「カテキン」の名前の由来は「菌に勝つ=勝て菌」からきているのは有名な話ですが、それほどまでに、悪玉菌をやっつける力が強いのがカテキンなのです。カテキンは、体重10kgあたり約10ml摂取することがオススメ。茶葉などでカテキンの含有量が違うので、成分表示を参考にしてみてください。また緑茶に含まれるポリフェノールには、腸を刺激して、蠕動運動を促進する働きがあります。便秘でお悩みの方は、便秘解消成分としてカテキンを摂取することがオススメです。

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