子育て期家族の家創りの変化について、前回はキッチンの合理化について書きましたが、今回は洗濯がテーマです。

洗濯の合理化の流れ

洗濯についても、キッチンと同じように電器製品による合理化の歴史があります。国産第一号の電気洗濯機は昭和5年(1930)発売のようですが、本格的に家庭への普及が始まるのは戦後のことです。1950年代に手搾りハンドルの付いた洗濯機が、60年代には脱水機能付が売り出され、普及していきます。

初期の洗濯機置き場は浴室の脇や土間といった、水を垂れ流しできる空間でした。洗濯には浴槽の残り湯を使い、洗濯機の排水ホースを浴室の洗い場に出して排水していたのです(図1)。

1960年代以降は洗濯機の給水栓と排水ホースを備えた室内の洗濯機置き場が一般化しましたが、3階建て以下の低層賃貸住宅では70年代まで外部に洗濯機置き場を設けたものも多くあり、私が1990年頃住んでいた築10数年のアパートも洗濯機置き場がベランダにありました。洗濯機置き場が低層のアパートを含めて室内化されたのは1980年代以降ではないかと思います。
浴室に接しての洗濯機の置き方

【図1】浴室に接しての洗濯機の置き方。 蛇腹ホースで浴室の洗い場に排水していた


電気洗濯機の普及は家造りという視点で見ると、川や井戸端といった家の外でされていた洗濯を室内に変えたことに大きな意味があります。洗濯機置き場の給排水が浴室から独立して設けられるようになったことから、1970年代の戸建て住宅の設計では、洗濯機置き場をユーティリティとして独立させたり、キッチンに併設させるといった提案が盛んに行われました(図2)。
キッチンに接して洗濯機置き場を設けた例

【図2】キッチンに接して洗濯機置き場を設けた例。 調理と洗濯を同時並行でできるが、キッチンの脇に衣類を持ち込むことの違和感はある


これは前回書いたキッチンの合理化の考え方と同じく、キッチンに近づけることで家事動線を短くする効果を狙ったものです。一方で手元にある建築家の70年代の作品や雑誌の特集を見てみると、LDKが一体の空間となる中でキッチンの見栄えが重要になり、キッチンに洗濯機を配置するために扉で隠したり、見えない位置を工夫するなどデザイン性を高めるための苦心の跡が見られます。

80年代後半~90年代にかけてシステムキッチンのビルトインオーブン等と統一されたデザインの海外製ドラム式洗濯機がもてはやされたのもこの解決法の一つであったと思われますが、主流を占めるまでにはなりませんでした。キッチンに隣接して洗濯機を置くことはプランの選択肢として定着はしましたが、国産のドラム式洗濯乾燥機が普及した現在においても浴室脇に洗濯機を置く設計の方が多く、根強く残っています(図3)。

この理由としては、脱衣場と洗濯機が同じ場所であることの合理性とともに、洗濯自体はスイッチを押すだけで頻繁にそばにいく必要がないのでキッチンと離れていても問題が少なくなったこと、多様な洗濯物の部分洗いなどを考慮すると洗面所や浴室のそばであることが便利といった家事作業上の理由に加え、環境問題から残り湯を使う文化が見直されていることが挙げられます。
最近最も多い洗濯機の置き方

【図3】最近最も多い洗濯機の置き方。 依然として浴室の脇に洗濯機があり、浴槽の残り湯をポンプで汲みだし利用できる機種もある



洗濯する時間は、ライフステージや家族の形態によって異なる。  >次ページ