食べない生活は難しい

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おいしいものがあふれる時代に、食べない生活ってなかなかストレスがたまるものです

アンチエイジングの基本は今や「腹八分目」から、「腹七分目」に減らすというのが定説のようです。最近では「一日一食主義」を実践し、実年齢より20歳も若く見えると評判の医師・南雲吉則さんの本がベストセラーになりました。

カロリー制限(カロリー・リストリクション:CR)は食事量を10~40%カットする健康法で「カロリス」と名付けて、アンチエイジング法のひとつとして推奨・実践するドクターも多いようです。

けれども、おいしい食べ物があふれる時代に「食べない生活」を続けるのは、ストレスがたまりますし、美と若さのためとはいえ、なかなか実行するのが難しいのも現実です。極端なダイエット行って、骨粗しょう症になったり、サルコペニアと言われる筋肉量の低下が起こったりする危険もあります。

カロリー制限の若返り効果の是非

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2009年にカロリー制限でサルの寿命が延びたという報告が発表され、2012年に延びないという発表が出て大混乱

そもそもなぜこんなにカロリー制限が医学界で持てはやされているのか? 実は通常食の40%カロリーカットした「超低カロリー食」で飼育されたアカゲザルは寿命が延び、見た目にも若々しかったという2009年のウィスコンシン大学の研究が科学雑誌『サイエンス』に掲載されたのが火付け役なのです。この研究では両方のサルの写真も公開され、カロリー制限したサルの毛並みはツヤツヤで、若々しく、通常食のサルは毛が抜けてヨレヨレしていたため、カロリー制限によるアンチエイジング効果が広く取り上げられました。

ところがつい最近、カロリー制限には寿命を延ばす効果がないという研究結果が米国国立老化研究所(NIA)から報告され、今度は科学雑誌「ネイチャー」に掲載されました。特に中年期以降からカロリー制限を開始したサルでは、寿命延長効果は認められなかったというのです。さらに見た目についても、両者に寿命の差はなく、一番若々しかったのは、通常食を食べていた「ぽっちゃり型のサル」だったということです。

一体カロリー制限は寿命を延ばすのか延ばさないのか? 若返りに効果があるのか? 悩ましいところですが、論文を読み返してみると、まず最近N I A が発表したカロリー制限が寿命延長に効果がないという研究結果の中に、通常食で育ったサルよりも、カロリー制限で育ったサルの方が、糖尿病、関節炎、憩室症、心血管病のリスクが低いことが記されていました。病気の予防にはカロリー制限が効果を発揮するということです。