2.帰宅後の孫の動き

それでは、玄関から帰宅した後、孫の動きはどのようになり、それぞれの場所で何がされるのでしょうか。このときのコツは、孫が帰宅時にすぐする行動や、持って帰ってきたもの、帰宅時に脱ぐものを想像することです。

ロッカー

図4:孫ロッカー
普段外出時に使うモノがまとめてしまえる

まず、帰宅時に何をするかですが、手を洗う、うがいする、などは習慣づけしている場合が多いでしょう。訪問調査をしていると親世帯に孫用の踏み台があるのをよく見かけますが、これは親世帯でも手洗いする機会が多いことを示しています。

次に孫が何を持ち帰ってくるかを考えます。ランドセル、汚れた体操服、宿題などは日常的にあるでしょう。楽器や返された絵なども持っているかもしれません。脱ぐものとしては冬ならばコート類、雨なら雨具があります。これらは親世帯に一度持ち込まれることになります。親世帯から行きやすい場所にこれらをしまう「孫ロッカー」があると、子世帯へのモノの受け渡しがスムーズになります。

ランドセルは宿題が入っていますから、いきなり片付けることはできません。出すものは出し、宿題が終わったらすぐランドセルに宿題を入れないと忘れてしまいそうです。、宿題をする場所ですが、これも調査では子世帯妻がフルタイムの共働きの場合は親世帯ですることが多いという結果が出ています。リビング周りに親世帯の作業カウンターを兼ねた机があればベストですが、子世帯のようにものが置きっぱなしになることは少ないと思いますので、座卓やダイニングテーブルなどでもできると思います。音読などは「聞いてもらう人」がいることが前提ですので、留守の共働きの世帯の中ではできません。しかし、高学年になると交換日記のように干渉されずに書きたいものもでてくるので、子ども部屋のようなひとりになれる場所の必要性も増してきます。

グラフ

図5:親世帯で勉強する孫の割合
子世帯妻がフルタイムの場合、親世帯で勉強する孫は約7割。それ以外の場合でも約4割が親世帯で勉強している。
(クリックで拡大します)


汚れた体操服は、明日必要なのかどうかによっても対応が変わりますが、親世帯母がみつけてすぐ洗ってあげる、というのも一つのストーリーです。息子夫婦同居の場合、娘夫婦同居に比べて洗濯の協力は少ないのですが、孫のものに限定すれば洗濯の協力は充分あり得るのではないかと思います。他のストーリーとして、子世帯の妻に洗濯物として引き渡すことが考えられ、子世帯玄関や階段にわかるように置いておく方法、孫に子世帯の洗濯機のところを持って行かせる方法などが考えられます。洗濯ものですからロッカー内にしまうことはできませんが、孫ロッカー前のスペースはこれらの受渡しに適しているといえます。

このあと、孫はおやつがもらえることでしょう。草餅などの和菓子や昔の手作りのおやつに孫が触れることで、古いものへの興味や話題が増えることがありますし、逆に孫がねだるおやつを親世帯が買うことで、親世帯は今流行のお菓子やキャラクターを知ることができます。2010年5月に書いた「二世帯で子育てする「孫共育」」でご紹介した孫共育の効果として、高齢者にやさしい孫になること、親世帯の刺激が多く明るく会話の多い暮らしになることを挙げましたが、このような日常的な世代間の交流がそうしたプラスの面を引き出しているのではないかと思います。

以上、今回は孫が親世帯に帰宅するシーンをシミュレーションしてみました。親世帯の中で孫が暮らすことを考えて二世帯住宅を設計することは今までの常識ではあまり行われてこなかったと思います。「孫共育」を考えたプランではこのように具体的な同居のシーンをイメージし、そのとき使いやすい空間を考えて間取りに反映させていくことが必要になります。それが今までの常識に捉われることなく、新しい二世帯住宅のカタチを生み出すことになるのではないでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。