日本人が会議で発言しない理由とは
会議で発言を引き出すには
これは何もグローバルな企業だけの課題ではありません。会議での発言が少なく、決まった人たちだけが発言を繰り返したり、何も新しいことに進展せず、堂々巡りの会議は日常茶飯事。それは「誰もが自由に話す」場をうまく作り出していない可能があります。そこで、会議を運営する上でコーチングで使われる「聞く」スキルを使い、参加者から発言を引き出す方法をご紹介します。
進行役の「聞き方」で会議の成果は大きく変わる
進行役が聞くスキルを活用すれば、活発な発言を促すことが可能
■話をさえぎらない
人は話す何倍ものスピードで考えています。すなわち、考えていることのほんの一部しか言葉にしていません。相手の話をさえぎってしまうと、伝えたいことに到達する前に打ち切ってしまうことになり、話すモチベーションが下がります。「もう少し詳しく聞かせて」「それで」「……といっているのはどういう意味ですか?」など、少し先のことまで話させるように促すことです。
■話の趣旨を聞き分ける
話を聞くときは、その人が何を目的で話しているのかに注意して聞きましょう。たとえば、何か問題について話しているときに、解決したくて話しているのか原因を追求するために話しているのかでは、本人が求める結論は異なります。「ここでは事象をたくさん出しますか? それとも対応策を出しますか?」など目的を見極め、具体化する質問を投げかけて明瞭にしましょう。
■対立するのではなく、隣に並んだ気持ちで聞く
意見が交わる際、気をつけないとお互いに対立した立場で話していることがあります。すると、「あなたはそうだけど、私はこう思う」という関係にはまり、共通項を見出しにくくなります。話を聞くときは、その人の隣に立ち、同じ方向を見ながら聞くというイメージをしましょう。その際、会議の開始時に決めた目的が役に立ちます。「あなたの話は、冒頭に出た○○に関係していますか?」「先ほどの話とこれは、どう関係するのかもう少し詳しく話してもらえますか?」など相互で共通点を意識すると、相手が話しやすい質問を繰り出せるようになります。
■話し手と同じ言葉を使う
人は自分の使う言葉に敏感なものです。同じような意味でも違う言葉で言い換えられると、反発を感じることがあります。「新商品の売上げ目標の達成が遅れていて」と聞いて、「営業がうまくいってない原因は?」など自分の解釈で言い換えることは避けましょう。そのためには、相手の言葉を正確にメモすることです。「目標達成が遅れている原因は?」と同じ言葉を使って質問すれば、相手も脅かされず安心して話すことができます。
■決めつけずに質問をする
話を半分くらい聞いて「ああ、わかった、つまり……」というのは、相手の話す意欲を減少させます。すべての事実を把握し、状況をはっきりと理解するまで、判断するのは避けると事前に決めておくことです。そして、自分や会議出席者が同じ状況をイメージできるようになるまで、具体化する質問をします。
会議の基本を抑えておく
進行役がどんなに努力したとしても会議で成果を出し、有意義なものにするには、3つの基本を必ず押さえておくことを覚えておきましょう。1.会議の目的を明確にする
会議には毎回必ず目的を持ち、それを全員で握ること。たとえ、それが進捗確認の定例ミーティングだったとしても、必ず「何を持って会議が成功とみなすか」の目的を具体化しましょう。「異なる意見をできるだけ出す」「1つの結論を出す」「会議の時間を短縮する」など具体的に目的を明言化しましょう。
2.議題を用意する
準備のない会議は時間の無駄です。その場で考えついたものには限界があります。会議の前までにメールなどで議題を伝えておきましょう。また、ほかに必要な議題があれば追加募集したり、「新規提案を3つ用意しておいてください」など準備するものがあれば、事前に伝えて宿題にしておくことです。
3.時間を決める
会議の時間は、開始と終了時間を必ず決めておくことです。そして、終了時間の15分前から締めを意識すること。「あと残り15分で終わりになりますので、今まで話されたことを整理します」「次の会議までにやることをそれぞれの担当者に宣言してもらいます」など、次につなげるための終わり方を工夫します。誰が何に責任を持つかが具体化されない会議は、貴重な時間の浪費となります。
聞いている立場に立つ方が多いとはいえ、その場のコントロールを失うというわけではありません。大事なのは相手に「私は聞いてもらっている」という体験を持たせることです。その体験があれば、活発な意見が交わされるようになります。そうすれば、あなたが伝えたいことを話すタイミングも作り出すことができます。目標達成に向けて、会議を効率よく運営するために、コーチングの「聞くスキル」を意識的に活用してみてください。
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