二世帯住宅にバリアフリー対応設計は必須 20年間で介護を経験したのは47%(資料提供:二世帯住宅研究所) 20年間という長い同居生活の間に、半数近くの世帯で「介護」が発生していました。もう少し詳しくみると、同居を中断した世帯では77%が介護を経験し、死別により二世帯同居を解消していました。 そして、介護にあたり、出入り口・廊下・トイレなどの狭さ、段差、手すりなど、様々な問題が生じました。車椅子を使用できない 完全分離で内部での行き来ができないため大変という声もあります。20年前の住まいのほとんどは、まだバリアフリーに対応していない設計だったため、これらの問題が生じたのです。 これから二世帯住宅を計画する場合、バリアフリー対応の設計は必須です。廊下の幅や段差解消など、基本設計の段階で対応すべきものもあれば、手すりやリフトの設置など、後々リフォームで手を加えることができるものまで、手法はいろいろあります。計画段階でいろいろとシミュレーションして、ひと工夫しておくことをおすすめします。 二世帯同居は相続を考えるいい機会 20年間で相続を経験したのは45%(資料提供:二世帯住宅研究所) どの世帯でもある問題ですが、二世帯同居の場合は兄弟姉妹との関係も含めて、慎重に扱いたい問題かと思います。調査の結果、20年間で親が亡くなり、相続を経験したと答えた世帯は45%と半数近くになりました。これは若い世帯ほど経験が減り、子世帯が現在40代の場合だと、まだ77%が未経験となります。 次に、相続についての準備についてお聞きしました。「準備している・準備しようとしている」合わせて約1/3。約2/3の世帯が「特に考えていない」と回答しています。一方、全体の9%の人が、相続が発生したとき「何らかのトラブルが発生した」と答えています。 相続は、いつかかならず起こる問題です。二世帯同居は、将来起こる相続のことを話し合ういい機会ではないでしょうか?同居しない兄弟姉妹とも充分に話し合っておくことが大切です。 二世帯住宅の資産価値を活かそう 20年間で賃貸を経験したのは3.9%(資料提供:二世帯住宅研究所) 家族の変化に伴い、住まいに“空き”ができることもあります。しかし、調査の結果では、現在「賃貸している」世帯は、わずか2%弱。20年間で賃貸を経験した世帯を合わせても約4%に過ぎませんでした。一方、賃貸を考えたことも無いという世帯が84%と大半を占めています。 しかし、広い空きスペースをそのままにしておくのは、もったいない気がしませんか?賃貸収入で、ゆとりある生活を送ることも、二世帯住宅のメリットのひとつです。二世帯住宅のスペースを活かして、住まいを資産として活用することを考えてみてはいかがでしょうか? また「賃貸を考えたがしていない」と回答した世帯では、そのままの間取りでは貸しにくいという理由もあげられていました。二世帯住宅を計画する段階で、賃貸を念頭に入れた設計をするのも、将来対応の大事なポイントかもしれません。 20年間という長い経験は、私たちにいろいろなことを学ばせてくれます。家族が若い頃はなかなか気が回らなかったり、「そんなに先のことは...」と思ってしまうこともあるでしょう。しかし、住宅の性能が向上すればするほど、長く住める住まいとなります。従って、それに応じた設計が必須となるのです。よりよい二世帯同居ができるように、二世帯同居経験者の声を活かしていきたいものですね。 【関連記事】 どう変わった?同居20年目の家族の声 同居、よかった?よくなかった? ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。更新日:2005年11月07日前のページへ12