文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
団塊の世代が大量定年退職を迎えると騒がれだしている昨今、それを機に二世帯同居を検討するご家族もいらっしゃるでしょう。二世帯同居をするにあたり、期待や希望がある一方で「同居により生活の送り方がどのように変わるのか?」という心配もあるかと思います。そこで今回は、二世帯同居の先輩となる同居経験者に行ったアンケート結果より、同居タイプ(住居形態)別に、親世帯の生活の送り方をご紹介したいと思います。自分たちの生活の送り方をイメージして、希望に近い同居タイプを見つける参考にして下さい。
同居タイプによって異なる、二世帯同居への期待
このアンケートでは、同居タイプ(住居形態)別に、様々な視点から生活の送り方について答えていただいています。この調査では「同居タイプ」を以下の3つに分けています。また、同居タイプにより、二世帯同居に対する期待が異なっていますので、合わせて簡単にご紹介します。- ■完全独立二世帯住宅
- 完全に独立した住居形態。子世帯とは適度な分離と交流を好んでいます。普段の生活を分離しているだけに、二世帯同居への期待は、家事や経済の協力などの実利的な要素より「子や孫との交流」など精神的な要素に重点を置いています。
- ■共用二世帯住宅
- 台所は独立しながらも、玄関・浴室などを共用する共用二世帯住宅。生活は分離したいけれど、ひとつの家族としてのまとまりも欲しいというタイプ。
- ■べったり同居
- 基本的な生活空間は全て一緒で、寝室だけが別のべったり同居。融合型の住まいを志向するだけに同居への期待が最も大きいグループです。食事の世話、生活費の分担など物理的な面での期待が、完全分離二世帯や共用二世帯など生活を分離しようとする二世帯派より高くなっています。
“べったり派”に多い自室型
“完全分離派”に多いキッチン・ダイニング派
まず「ふだん過す時、どの部屋に居ることが多いか」についてみていきましょう。以下のグラフをご覧下さい。Q:ふだん過ごす時は、主にどの場所にいることが多いですか? |
資料提供:二世帯住宅研究所 ※グラフをクリックすると大きく表示されます |
最も多かったのは、やはり「リビング・茶の間」と言った人の集まる空間ですが、同居タイプにより違いがはっきりあらわれました。べったり派では「リビング」の割合が他に比べて少なく、その代わりに、自室として使われていると思われる「寝室」が多くなっています。やはり、子世帯への気がねがあるのでしょうか。
一方、完全分離派の奥様は、キッチン・ダイニングまわりで過ごす人がべったり派・奥様の3倍以上、共用派・奥様と比べても1.4倍になります。やはり、その家でメインとなり家事を担う主婦は、キッチン・ダイニングが居場所となるのかもしれませんね。
では次ページでは、その行動に注目してみましょう。