文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
国土交通省が、既婚者で親のある約4800人の男女を対象に行った「近居」の実態調査の結果によりますと、2006年時点で、既婚者とその親との「近居」は約52%となっているそうです。(※この調査での「近居」の定義とは、徒歩10分~車・電車で1時間以内となっています。)

そして、現在同居をしていない人については、今よりも近くに住みたいとの意向が強くなっているとのこと。この「近居」、実は「二世帯住宅」ととても似ています。そこで「近居」と「二世帯住宅」の違いを検証してみました。


同居・近居の理由は安心感

同居イメージ
同居も近居も、その理由は「安心感」。家族で助け合える住まい方なのは、共通の願いなのですね。
まず、この調査で報告されている、同居・近居をしている理由をみてみますと、(※「特に理由はない」を除いた場合)「気軽に顔を見に行ったり、話し相手になったりできるから」がトップ。次いで「緊急の事態が心配だから」「介護・老後のため」の理由が上位3つとなっていました。同居と近居でこの順位は若干異なるのですが、やはり高齢になる親を心配し、同居または近くに住むことを選択するご家族が多いのが伺えます。

一方、昔と異なるのは「子育て支援」という理由が上位に上がっていること。最近は、子世帯が親世帯を心配するだけでなく、子世帯が親世帯の協力を求めているという実態がこの結果からも垣間見えました。


「近居」の人気は程よい距離感

では、なぜ「同居」ではなく「近居」を望む声が多いのでしょうか?まずは「近居」の利点を整理してみたいと思います。

■独立性
一番の理由は、この独立性でしょう。一つの家に一緒に住む「同居」の場合、相手の行動が丸見えになり、生活やプライバシーなどで、どうしても干渉しがちになります。しかし、近居であれば、別々の世帯となるため、独立性が維持されます。経済面・生活面・プライバシーなど、それぞれの独立の度合いが適度に保てる点が、「近居」の最大の魅力と言えるでしょう。

■助け合い
一方、行き来が楽な「近居」であれば、親世帯が苦手な電化製品の接続をしてあげたり、子世帯の代わりに子守をしてもらったりと、お互い助け合うことがしやすくなります。また、長期間、留守にする時などは、時々様子を見に行くこともできます。このように、お互い手助けできるのも、近居の良いところです。

■緊急事態の対処
緊急時の事を考えると少しでも近い方が望ましいのですが、たとえ車や電車で1時間かかるとしても、不慮の事故などいざと言う緊急事態の場合には、充分駆けつけられる距離となります。また、病気の看病や生活の介護という場合も、必要に応じて対処が可能なのが「近居」の利点と言えます。

このように、お互いの生活には干渉せずに、独立した世帯として生活ができること、しかしいざという時助け合えるという、程よい距離感が「近居」の魅力と言えそうです。しかし「近居」を実現するには、なかなか難しい問題もあります。

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