文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
娘夫婦同居の入居宅ブログが、二世帯住宅研究所のサイトに掲載されています。このご家族、入居して3年。玄関1つ・設備は2つの3階建て二世帯住宅にお住まいです。このブログの書き手は子世帯・奥様。共働きの子世帯ご夫婦と親世帯のご両親が、和気あいあいと暮らす様子が、伝わってきます。何気ない日々の記録の中には、二世帯ならではのエピソードやつぶやきが見受けられます。今回は、そんな二世帯住宅の素顔をお届け致します。
二世帯同居のお約束・その1
~生活リズムの違いを踏まえて暮らすこと
当サイトでも、何度か触れてきましたが、まずは世代間の生活の違いから。子世帯ご夫婦が共働きのため、朝食は親世帯と一緒に食べさせてもらっているご様子。しかし、平日の夕飯は別々が基本とのこと。その理由は...『私が帰宅する頃には、早起きの両親は眠っている事が多いし、夫婦の平均年齢が35歳も違うのでは、世帯毎に嗜好が違う。それに、作ってもらっていても、食べられない事も多い。お互いのために、二世帯同居の平日のゆうごはんは、バラバラが気楽なようです。』 |
好きなおかずを持ち寄っての夕飯。こんな夕飯もアリなのが二世帯同居の楽しいところでは? |
【参考記事】二世帯同居は相互不干渉が原則
二世帯同居のお約束・その2
~価値観の違いを認めること
毎日一緒に生活してきたとは言え、母と娘世代では生活リズムだけでなく、価値観も違うもの。ブログにも、そんな価値観の違いが垣間見られます。価値観の違いが浮き彫りになった「地鎮祭」も、良い思い出となっているようです。 |
『そういえばあの時、地鎮祭やる?と聞いて「あたりまえじゃないか!」と両親に驚かれたんだっけ。簡略化されて良いことと、悪いことの区別って、世代の考え方も違うので、難しいものだなあ。』 |
と振り返っています。また、子世帯と同居を始めた結果、ご両親の生活に異変があったとか。それは「家事の分担」でした。子世帯ご夫婦は共働きということで、家事分担はシビアにされているご様子。そんな娘夫婦の様子を見た、親世帯・奥様が目覚めたのか『文句を言わずに、家事を行っていた母が、私を見習って父に対して厳しくなった』らしいのです。これも、世代の価値観の違いが影響した、出来事のひとつですね。
良くも悪くも、価値観の違いはお互いに影響を与えるものです。この日のブログの最後に『二世帯住宅での同居では、考え方を押し付けあわないことが重要なのかも...』と書かれていました。経験者の言葉は、説得力があります。
【参考記事】子との同居でどう変わる?親世帯の生活
二世帯同居のお約束・その3
~プライバシーを守る工夫も必要
一緒に暮らす上で、お互いのプライバシーを尊重するのは大切です。しかし、何年もかけて培ってきた習慣を、急に直すのは大変なこと。例えば...『母は気を使って「いる~?」と声をかけてからドアをあけてくれますが、父は声とドアを開けるタイミングが同じ。まあ、困ることはないんだけど、なんとなく気になるなあ...。しかし、70年以上かけて培ってきた習慣を治すのは大変そう。』 |
と言うように、頭で理解していても、なかなか普段の生活では実行できないこともあるようです。実は、プランニングの段階で、設計担当から「寝室に鍵はつけないんですか?」と聞かれていたけれど、「別にいいんじゃないかな」と付けなかったそうです。
暮らし始めてから気づいた「鍵」の必要性。プライバシーを守るのは簡単そうで、難しい? |
【参考記事】二世帯同居に「3つのゾーン」
続けて次ページでは、具体的なプランニングについて、ご紹介します。