2台分のカーポートの背後に敷地間口一杯の建物。道路側の大きな窓は素敵に飾られています。
敷地面積/113.99m2
延床面積/111.06m2
前回は、息子夫婦同居の独立二世帯をご紹介しましたが、今回は娘夫婦同居の融合二世帯住宅での暮らしをご紹介します。
独立二世帯と違って、リビングやキッチンを共有する家の中では、どのような暮らしが展開しているのでしょうか。



母親の土地に子世帯の資金主体で
二世帯住宅を建てる

茶系と白でまとめたシンプルモダンなインテリアは、子世帯奥様のこだわり。
NさんHさん宅は、子世帯のご主人奥様、奥様の母親の3人で暮らしています。全員が仕事を持っており、通勤している「全員共働き」のご家族です。

東側に隣接するのはお母様のご実家で、16年前に建てられたヘーベルハウスの独立二世帯住宅です。祖母様(お母様の母親)と兄夫婦がお住まいで、お母様はご自分の仕事の傍ら祖母様のところに毎日行って家事や食事のお世話等をしています。

このご実家の西側の巾約6mの土地は相続によりお母様のものになっていました。この土地を使って、娘夫婦に一緒に家を建てないか、と持ちかけたことが二世帯住宅建築のきっかけでした。子世帯のご主人とも仲が良く、この人なら一緒に住める、と思ったそうです。娘夫婦は当時近くの賃貸に住んでおり、マンションを探し始めたところでしたが、その資金を使って、母の土地に二世帯住宅を建てることにしました。ご主人のご両親はすでに東京を離れ郷里に戻っており、一人息子である子世帯ご主人との同居に快く賛成してくれたそうです。


LDKは共用でも世帯別の水回りを持つ構成

1階の玄関とLDKは共用で、玄関脇にお母様の個室と専用のサブキッチン、浴室があります。2階は子世帯のスペースになっており、洗面所と浴室は子世帯専用となっています。
2台分のカーポートを道路側に確保して建物を間口いっぱいに建てること、共用スペースと母親世帯部分は高齢になったときの負担が少ない1階にして子世帯のスペースを2階に、というような条件を子世帯のご主人が整理していくことでこのような構成がスムーズに決まっていきました。周辺建物との関係で通風採光に最も有利な南東の角だけが切り欠かれたL型の建物になっており、ここに面して大きな窓が設置されています。北側の道路側にも2台分のカーポートに面して大きな窓がとられ、道路やアプローチからの視線を意識して素敵に飾られています。


それぞれの生活リズムで過ごす共用のLDK

子世帯奥様が一番気に入っているというキッチン。子世帯奥様の身長にあわせ、カウンターの高さを選んだ。
家族3人がそれぞれ仕事を持っていますので、それぞれに生活リズムが異なるのはやむを得ません。共用のLDKでは家族が出会う貴重な時間を使ってさまざまな共同作業が展開します。まず遠距離通勤の子世帯のご主人が家を出た後、母娘一緒に6時頃朝食をとります。洗濯は子世帯奥様にお母様が「発注」しておくと、翌日たたんで返してくれる、ということになっているそうで、朝のうちに子世帯で両世帯分の洗濯、物干しが行われます。庭には干さずに、2階南側の窓に面した室内に干されることが多いようです。この後、子世帯奥様が出勤し、お母様は隣の実家祖母様の昼食を準備してヘルパーさんがあたためるだけにしておいてから出勤します。

帰宅が一番早いのはお母様。隣の実家で祖母様とともに夕食をとります。その後、子世帯ご主人、奥様の順で帰宅することが多いようですが、誰が夕食を作るかはそのときの疲れ方や気分によって決まっていません。夕食を終えたお母様が作ることもありますが、ご主人がカレーを作ったこともあるそうです。仕事の関係で子世帯奥様の帰りが一番遅いことが多く、誰かが作ってくれたらラッキー、と感謝するそうです。

はっきりしたルールや分担を決めずそれぞれ自由に暮らしているのですが、食材の買出しは休日に子世帯奥様がまとめて行い、お母様は冷蔵庫の中にあるもので手早くおかずを作るのは得意、とうまく連携して生活が成り立っています。掃除も週末にめいめいが掃除機のコードの届く範囲を行っています。お母様は平日の休みが一日あるため追加で洗濯が必要になった場合は隣の実家や子世帯の洗濯機を拝借して洗濯することもあるそうです。家族それぞれが自分の生活リズムを保ちながら、お互い無理せず協力しながら親子の同居生活ができている感じがしました。


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