二世帯住宅に暮らす方たちは、どういう経緯で二世帯生活に至るのでしょうか、また、その後の暮らしはどのようなものでしょうか。
今回、2組の方にお話をうかがいましたのでご紹介したいと思います。
まず第1回は、息子夫婦同居の独立二世帯住宅です。

玄関のある北側外観。シンボルツリーを中心にした、左右対称で窓のないマッシブな壁面を活かしたデザインは、Kさんがこだわった点です。
敷地面積/277.32m2
延床面積/164.86m2 (1階81.40m2、2階83.46m2)


お互い気がねなく暮らせるよう
完全に独立した2戸として設計

駐車場に近いほうが子世帯の玄関になっています。右側の同じ位置に親世帯の玄関があります。
Kさん宅は、1階の親世帯がKさんのお母様と妹さんの2人、2階の子世帯にKさんと奥様、6才と3才のお子さんという4人が暮らしています。

玄関、水回りをそれぞれの世帯別に設け、各世帯が1つの住宅としての機能をすべて持っている独立二世帯型の設計です。2階の子世帯の玄関は1階にあり、1階の納戸が両世帯を行き来する動線になっています。親世帯側の納戸の扉には親世帯側から鍵がかけられ、夜間や外出時には施錠されています。子世帯側への扉にも両面から鍵がかけられる錠がついていますが鍵は差したままで、コートなど日常の収納に便利に使われています。

「一軒家というより、2戸がくっついた集合住宅のような設計にしたいと考えていました」というKさん。
奥様も、「それぞれの世帯で生活時間が違うので、スペース的には狭くなっても、水まわりや玄関は別にしたほうが暮らしやすそう」と意見が一致していました。お母様も独立二世帯案に賛成だったそうです。

以前の住まいは、子世帯は近くの賃貸マンションの3階で、子どもを遊ばせたりベビーカーを上げ降ろしするのに不便を感じていたそうです。親世帯は近隣の市の一戸建てに住んでいましたが、その土地建物を処分することになり、いずれ同居することになるなら今、とKさんが二世帯住宅の新築を提案しました。

設計に関する打ち合わせでは、全体の計画がまとまった後は親世帯、子世帯別々に毎週のように担当者と話し合い、間取りやインテリアなどのディテールを決めていったそうです。



暮らしはじめて約1年。
お互いのペースを尊重した生活

子世帯が暮らす2階は、奥さまがダイニングやリビングで寛ぐ家族とのコミュニケーションがとりやすいオープンキッチンになっています。
「同居にあたって、堅苦しいルールは決めていない」というKさん。

両世帯の食事は基本的に別々ですが、たまにおかずを多めに作って交換したり、週末Kさんの妹さんが外出したときなどには、お母様が2階にいらして一緒に夕食をとることもある、というようにお互いの世帯のペースに合わせて交流しています。

お母様はきれい好きで、少し足を悪くしたこともありお掃除サービスを頼んでいます。自分の納得がいくようにキッチンを使えることも、キッチンが分かれた二世帯ならではです。

お孫さん(Kさんのお子さん)はしょっちゅうおばあちゃんの家に遊びに行き、好きなメニューならそこで夕食をとるなど、二世帯ならではの生活を自由に楽しんでいるようです。

留守が長時間におよぶとき以外は外出時にも声かけを特にしていないとのこと。ただ、子世帯奥様は、車で買い物にいくとき、運転しないお母様をときどき誘うのだそうで、お母様は「声をかけてくれる気遣いがうれしいし、助かっている」とおっしゃっていました。

また、奥様は、ここに引っ越してから復職し、時間がないときは、お子さんの園バスのお迎えをお母様に頼むなど、こちらもお母様に助けていただいているのだとか。親世帯に頼めないときは、近所にお住まいのご実家のお母さんの方に頼むこともあるそうです。

お互いに無理をせず、自分たちのペースを保ったまま、協力や交流をできるときにしているように感じられました。Kさんは同居のポイントを「持ちつ持たれつ」「いい距離感」と表現していましたが、独立性が確保された上で協力し合う安心感のようなものが家の中に満ちているように思えました。

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