家族構成の変化に伴い、リフォームを決意
二世帯住宅をリフォームしたAさんは、娘さんご夫婦とお孫さん3人とひとつ屋根の下で暮らしています。同居生活が約20年になるご一家。今の3階建てのヘーベルハウスを建てたのは、一人目のお孫さんがまだ小さい頃。「ちょうど孫が生まれた頃に、前の家を建て替えることになりまして。こっちで一緒に住む?と聞いたら行く!ということで(笑)、3階建てに建て替えて、二世帯住宅の生活が始まりました」(お母様)。
最初は、1階に子世帯、2・3階に親世帯が暮らしていたそうです。その後、2人目、3人目のお孫さんが生まれ、二世帯住宅の暮らしが10年ほど過ぎた頃に、祖父である父が他界。お孫さんの成長で子世帯のスペースが手狭になったこともあり、リフォームを考え始めました。
「主人が使っていた部屋を譲ったり、2番目の孫が私の寝室で一緒に寝たりと、いろいろやりくりをしていたのですが……。もうこの際だから、私が1階に行って、2階・3階は若い人たちの住む場所にと、思い切ってリフォームをすることにしました」とお母様。

リフォーム前の、親世帯LDK(2階)。「2番目の孫は2階の居心地が良かったようで、小さい頃はここで朝ご飯を食べてから、幼稚園に行くこともありました」

リフォーム前の、子世帯LDK(1階)。木調のシックな親世帯キッチンと異なり、白が基調の若々しいデザインになっていました
玄関と浴室は共用。共働きの子世帯をお母様がフォロー
Aさん宅は、玄関と2階の洗面室・浴室を両世帯で共用しています。「孫が大きくなり、娘がフルタイムで働き始めたので、洗濯は私の仕事になりました。階段の昇り降りがありますが、長年運動を続けているので今のところ平気です。ご近所の友人が1階に干してある洗濯物を見て“今日もAさん大丈夫ね”と安心するそうで(笑)、元気のサインになっているんですよ」とお母様。
子世帯のダイニングの隣にある和室に仏壇を置いたこともあり、毎日1階と2階を行き来しているそうです。
なお、リフォームで浴室乾燥機をつけたのは、大正解だったとのこと。2番目のお孫さんはバスケットボールのサークルに入っており、洗濯物の量がかなり多いとか。雨の日が続いても、浴室に干しておけば夕方には乾いているので、とても便利です。
また、1階のお母様のLDKに床暖房を入れ、2階・3階を含め一部の窓を複層ガラスにするなど、断熱性もアップ。床暖房は、柔らかい暖かさが心地いいそうです。キッチン、ダイニング、リビングそれぞれにスイッチを設け、いる場所だけオンにできるので経済的です。

リフォーム後の、親世帯LDK(1階)。キッチンとの境の壁を腰高にしたことで、明るい雰囲気に

3番目のお孫さんからのメモが壁に貼ってありました。“戸締り・火の元気をつけて”という優しい心遣いです

リフォーム後の、子世帯LDK(2階)。奥様のこだわりの品々で温かみ溢れる空間になりました

3階は、お孫さん3人の個室と娘さん夫婦の寝室。「皆、年頃なので、個室をつくってあげられてよかったと思っています」(お母様)
実の母娘ならではの距離感で良い関係を
「孫も3人いると三者三様で、反抗期もそれぞれ。ママには言えないけどばばには言えるっていうことはあったみたいで。私がいい緩衝剤というか、逃げ場になっているようです」(お母様)。今ではお孫さんが上から社会人、大学生、高校生となり、小さい頃ほどべったりではないものの、今でも“ばば、なんか食べるものない?”とやって来るそうです。お母様も、お孫さんのために、冷蔵庫に飲み物や食材を必ず用意しているとか。
「数年前までは、時々夕飯の準備を手伝っていたけれど、パパ(娘さんのご主人)の分は申し訳ないけど、体力的に無理よと言ってあります。」(お母様)。
「それでいいんです(笑)」(娘さん)。
長年の同居で絶妙な距離感ができていることもあるのでしょうが、実の母娘ならではの気の置けない会話です。「この年になるとまた関係性が少し変わってきて、女同士、愚痴をこぼしあえるような仲になりました」(娘さん)。
親世帯と子世帯、生活の時間帯はかなり異なるものの、家族の声が聞こえたり、気配がするのは安心だと語るお母様。
「夕方、娘たちの家族が帰ってくると、やっぱりホッとしますよ。私も、家の灯りをつけて“おかえり”って出迎えられるのはいいなと思いますし」とニッコリ。リフォームでさらに住みやすくなった、二世帯住宅での暮らしは日々穏やかに過ぎているようです。

家族が行き交う玄関にて。二世帯住宅を建ててみて、「みんなが家を出ても、帰ってきたらいつでも迎えられる場所にしたい、と思うようになりました」(娘さん)
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