二世帯住宅ならではの「配慮」いろいろ
次に子世帯のプランを見ていきましょう。子世帯はオープンなプランで、仕切りが少なく吹抜けを利用して、家族の気配を感じられる工夫がされています。2階には、子世帯のLDK・夫婦の寝室・水回りの他、防音室があり、3階は子ども室と書庫や収納などのフリースペースとなっています。<2・3階/子世帯> |
■スムーズな子世帯への動線「階段」
共用玄関から直接1~2階へ、そして2~3階への階段もすぐ近くにあります。朝、家を出る時間が早い子世帯ご夫婦の代わりに、親世帯お父様が、お子さんを起こしに行くことがあるとか。そんな時にも、子世帯の空間を最小限に通過するのみ。こんな配慮も、共働きで忙しい子世帯奥様にとっては、ちょっと嬉しいですね。
■思い切り音楽を楽しめる「防音室」
2階の防音室は、子世帯ご主人とお子さん達が、楽器を楽しむ部屋となっています。防音室にしたことで、ご近所へはもちろんですが、親世帯にも気兼ねせず、趣味の音楽演奏を楽しむことが可能になっています。このように、二世帯で暮らすには、音の配慮も気にしたいものです。
■室内干しもできる「3階通路スペース」
3階のフリースペース通路は、雨天時の物干し場としても活用できます。共働きの子世帯にとって、日中の洗濯物干しスペースは重視されるところ。一緒に暮らしているからと言って親世帯に頼らず、室内に物干しスペースを用意するのは、良いアイデアです。
■音が聞こえない工夫「トイレ」
子世帯のようなオープンなプランは、生活音が聞こえやすいという特徴があります。そこでトイレは、洗面所の中から出入りするプランとし、リビングとの間をドア2枚で設けることで、うまく音の問題を解消しています。これで、来客時も安心です。
■子世帯へ直接入れる「勝手口」
キッチン横には、子世帯に直接出入りできる外階段を設置。普段は1階の共用玄関を利用していても、ゴミ出しや、買い物の荷物が多い時などには、やはり便利です。玄関が共用の場合は、このようなサブの出入り口を、ぜひ検討して下さい。
お客さまの思いが形になった「収納」
最後に、「収納」に注目して下さい。こちらの実例プランには、実に38ヶ所もの収納スペースを確保しています。無駄なところはほとんど無く、使いやすい収納が実現されています。子世帯・奥様は、設計段階で収納するものを決め、無駄がでないサイズで設計をお願いしたそうです。子世帯リビングの床上げ和室。床下に収納を取ることで、リビングの収納の充実をはかりました。 |
収納は、集中収納と分散収納をうまく組み合わせて使いこなすのがベスト。各室に設置された収納は使いたいときにすぐに取り出せ、使い終わったら元の位置にすぐ戻せるという効果が絶大です。また集中収納は、大きな物や季節の物をしまっておくのに便利です。ふたつの収納方法をうまく組み合わせると、すっきりとした部屋が維持できるのです。収納は、住空間を快適にしてくれる鍵。二世帯住宅に限らず、しっかり計画したいものですね。
お互いに快適な生活を送るためには、プランニングはとても重要です。ご紹介した実例には、ゾーニングをはじめ、動線・音への配慮・生活に必要なスペースの確保(洗濯干し場・収納・勝手口)など、様々な工夫が凝らされているため、とても快適な二世帯住宅となっています。これから二世帯住宅を検討される方にとっては、とても参考になる事例ではないでしょうか。是非、プランニングの参考にしてみて下さい。
【参考記事】
二世帯同居に「3つのゾーン」
問題点は何?失敗事例に学ぶ二世帯同居の鍵
【参考サイト】
失敗しない二世帯住宅