夕食の独立・融合に家事、家計全般が連動
夕食の独立・融合は、はたして他の食事や家事全般と関連性があるのでしょうか。平日の朝食・洗濯・家計などについてお伺いしてみました。まずは朝食スタイルについて。■平日最も多い朝食のパタン |
資料提供:二世帯住宅研究所 ※グラフをクリックすると大きくなります |
ご覧のように、夕食スタイルとよく一致した結果となりました。しかし『夕食融合』の方でも、朝食を一緒にしているのは全体の35%に留まり、時間がバラバラとなるケースが全体の約5割を占めているのが特徴的です。やはり、一緒の志向であるとは言え、朝食は世帯や個人の生活リズムに差があるということでしょう。
また、朝食は別という12%には、サブキッチンを利用している方々がいると考えられます。実は、回答者の中には共用二世帯で、独立したキッチンを2つ有している方も多くみられ、キッチンが2つあっても、実際の生活ではサブキッチン的な使い方をしているケースも多いと考えられました。
次に「洗濯」についてお聞きしました。以下のグラフがその結果です。やはり『夕食独立』ならば、洗濯に関する行為もほぼ別々に行われていますが、『夕食融合』でも、時々共同を含めた「別々派」は31%となり、夕食が一緒でも洗濯は別々というスタイルの存在を示していました。これは、面白い傾向と言えるでしょう。
■洗濯・物干し |
■洗濯物の取り込み |
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物理的な原因としては、洗濯のやり方の違いや、洗濯をする時間帯が世帯で異なることなどが考えられますが、洗濯は食事以上にプライベート性の高い生活行為であるため、より独立性が高くなるのだと考えられます。洗濯については、建物の分離度との関係でも、その傾向がはっきり表れていましたので、また改めて詳しくご紹介させて頂きます。
今度は少し別の視点で「インターホン」についてです。これは、インターホンが、各世帯別々なのか一緒なのか、別々の場合相手世帯のインターホンに応対するかしないかなどを、調べた結果です。
■インターホンでの来訪者対応 |
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以上のように、『夕食独立』の場合、世帯毎に別々で呼び出し音も鳴らないのが約7割なのにたいし、『夕食融合』の場合は1割以下と、面白い傾向がみられました。『夕食独立』は基本的な生活が別々なので、インターホンについても世帯毎で完結させている方が多く、『夕食融合』は他の世帯に居ることが多くなるため、両世帯で呼び出し音が鳴る必要があるのだと考えられます。
最後は、家計の中から「電気料金」について。それぞれ、とのような支払分担をしているかについてお聞きしました。こちらも、夕食の独立・融合で、はっきりと違いがみられました。『夕食独立』なら世帯別、『夕食融合』なら片方で負担という傾向となっています。
■電気料金 |
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以上の結果から、夕食の融合は必ずしも他の生活行為すべての融合を意味しませんが、夕食の独立・融合の違いは、同居生活に関する志向と強い相関があると言えるでしょう。
今までも何度かご紹介してきましたが、二世帯住宅を計画する場合、この同居スタイルが、建物分離度を決める大きな要因となります。今回の調査から、夕食の独立・融合が同居スタイルと関係が深いことが分かり、結果として、夕食スタイルが建物分離度を決める要素になると想定することができました。
この調査では、同居スタイルと建物分離度の関係・満足度となども調査しつつ、夕食の独立・融合から導くプランニングについて指針をまとめています。これからも、引き続きご報告したいと思います。
【参考サイト】二世帯住宅研究所
親子同居スタイル・多様化の実態~二世帯住宅における独立と融合~