(2)専用で欲しいものは何か
一番頻度が高いのはサブキッチンでしょう。二世帯住宅研究所の調査では夕食一緒の場合、キッチン一つの場合に比べサブキッチンがあると同居の満足度は大幅に高くなっています。用途はお茶を飲む、薬を飲む、食器を洗うといったもののほか、朝食・軽食の調理や来客時の利用が多いようです(図2)。洗面や掃除用流しの機能もあります。朝食・軽食の調理は最近ではコンロの出番が少なく、むしろ電子レンジやトースター、電気ポットのような調理機器の比重が高くなっていると考えられ、これらの置き場所を確保することも必要です。図2:サブキッチンの使い方 |
コンロが不要なら、サブキッチンではなく洗面台を設置してもいいでしょう。お茶を飲む程度なら、洗面台と電気ポットがあれば一人分の湯のみを洗う程度はできます。私が英国の大学の学生寮に行った際、部屋にはベッドと机、衣類のクロゼットに加え小さな洗面器がありました。トイレや浴室は共同なのですが、部屋で水が出るというのはとても便利と感じました。
特に加齢配慮を考えた場合、親世帯のスペースに専用のトイレをつくるのも優先順位が高いと思います。お客様用のトイレも兼ねる1階ではプライベートな寝室とトイレを近づけるのは難しい場合が多いですし、トイレを専用で使えれば身体能力に合わせた手すりや便座の改修を行うこともできます。
洗濯は女性にとってできれば他人に任せたくないと思うようです。調査では夕食が一緒であっても融合二世帯の約3割は洗濯機を2台持ちたいと考えていました(図3)。いわゆるボケ防止の観点からも、できることはし続けることも重要なことです。洗濯機を親子両世帯で別々に持ち、自分の衣類は自分で洗濯することも日常生活のリズムを作るうえで大事なことではないでしょうか。
図3:洗濯機の数の希望 |
子世帯が共働きで、主婦業は親世帯が主に担っている場合や、親世帯が介護期に入り、家事は子世帯が主に担っている場合などは、必ずしも主婦が2人となるわけでもなく水回りを専用にする必要性を感じないかもしれませんが、このようなケースでも休日のこと、将来のことを考え必要に応じてスペースや配管準備を考えておきましょう。