市場調査の方法を解説
それでは、企業が特定の市場に関するデータを収集し、マーケティング戦略の構築に活用する市場調査はどのように実施すればいいのでしょうか?
今回は市場調査のプロセスについてお伝えしていくことにしましょう。
<目次>
市場調査の方法! マーケティングのプロセスとは
市場調査は最終的な意思決定まで6段階のプロセスを経て実行に移されます。まずは「問題と調査目的の明確化」から始まり、「調査計画の作成」、「情報の収集」、「情報の分析」、「調査結果の提出」、「意思決定」というプロセスをたどります。マーケティングの市場調査は6つのプロセスを経て実行される。(出典:コトラーのマーケティングマネジメント ピアソンエデュケーション)
市場調査の方法1:問題と調査目的の明確化
市場調査のスタートは、まず自社が抱える問題と調査目的を明確化させることです。調査目的を明確化させることによって、無駄のない効率的な市場調査を実施することが可能になります。たとえば、「対象顧客のニーズを把握する」といった調査目的では、目的があまりに漠然としすぎていて、効果的な調査結果を得ることができない場合もあります。「商品Aが売れない原因を特定し、売上向上の要因を探る」といった絞り込んだ調査目的を明確化させることにより、短時間で実りある市場調査につながっていきます。市場調査の方法2:調査計画の策定
調査目的が明確になれば続いて調査計画の策定に入ります。この調査計画を策定するにあたって注意すべきポイントはデータ情報源をどこに求めるか? 調査手法をどうするか? サンプリングをどうするか? コンタクト方法をどうするか? という4点になります。■ データ情報源をどこに求めるか?
市場調査では、一次データと二次データという2種類のデータ情報源を活用することができます。一次データとは、自社でゼロから集めた情報のことです。目的の情報を得ることができるというメリットがありますが、反面収集するために時間とコストがかかるというデメリットもあります。二次データとはすでに他の目的で自社もしくは他社が収集した情報になります。
政府が4年に1度実施する国勢調査のデータや、インターネット上で誰でも閲覧できる情報などが二次データに該当します。二次データの場合、市場調査の目的とピンポイントで合致しない場合もありますが、インターネットなどを活用すれば収集するのが容易で、コストも安いというメリットがあります。調査計画の策定ではこれら一次データと二次データのメリット・デメリットを考慮に入れた上で、どのような形で情報を入手するのかを決定していくことになります。
■ 調査方法をどうするか?
データ情報源を一次データにたよる場合は、調査方法も併せて決める必要があります。調査方法には観察調査、フォーカス・グループ調査、サーベイ調査などさまざまな方法がありますので、調査目的に応じて使い分けを行います。
観察調査とは、対象となる顧客を観察する方法によってデータを収集していく方法です。顧客が店内でどのような動きを見せるのか?や、どのような購買プロセスで購入を決定するのか?など、顧客の行動をつぶさに観察してデータを取得していきます。
次にフォーカス・グループ調査は、対象となる顧客を複数集めて自社の製品やサービスについて率直な意見を交換しデータを集めていく手法です。実際にその場でフォーカス・グループに自社の新製品などを体験してもらい、率直な意見を収集してマーケティング活動に役立てていきます。
最後にサーベイ調査は、対象となる顧客にアンケートを取ってデータを収集していく方法です。この手法は、手軽さから実に多くの企業で活用されている市場調査手法になります。
■ サンプリングをどうするか?
市場調査では偏りのないサンプリングを心掛けよう
■ コンタクト方法をどうするか?
調査方法の策定の最後は、コンタクト方法をどうするか? という問題です。コンタクト方法にもさまざまなタイプがあり、電話によるインタビューや郵送によるアンケート、対面インタビュー、インターネットによるアンケートなど企業の都合に合わせて選択します。近年では費用と期間の利便性からインターネットを活用してコンタクトを取る企業が増えています。ただ、インターネットによるコンタクトは手軽な反面、匿名アンケートによる回答の正確性などに問題がある場合もありますので、注意しながらデータを利用していく必要があるでしょう。
市場調査の方法3:情報の収集
調査計画が策定されれば、いよいよ情報の収集段階に移ります。市場調査では、この情報収集のプロセスが最も費用と時間のかかるプロセスになります。計画に沿って、じっくりと情報を収集していきましょう。市場調査の方法4:情報の分析と調査結果の報告、意思決定
十分な情報が収集できれば、市場調査の最終段階として情報を分析していくことになります。数値による定量評価や製品の感想などの定性評価などを整理して、調査目的の核心に迫る回答に着目して分析を進めます。最後に担当者は調査結果をまとめて、責任者に報告し、責任者はマーケティング関連の意思決定に市場調査から得た結果を役立てていくことになります。【関連記事】