「マーケティング」はデフレ時代に必須のビジネススキル


マーケティング

マーケティングの本質を知ろう

グローバルレベルでの競争が激化し、「モノが売れない」と嘆く企業が多くなりました。ただ、モノが売れなくなったのは本当に外部環境だけのせいなのでしょうか?

周囲を見渡せば確かに売上を上げることに苦しむ企業が多く存在する一方、同じ環境下で順調に業績を上げている企業も存在します。確かに長引いたデフレ経済の影響でサラリーマンの平均所得は下がり続け、消費の全体的な量が小さくなってきたことは事実です。マクロ経済的に見ると売上は縮小均衡といえますが、消費が全くなくなるということはありえません。

給料が減り続ける時代には生活者の消費にかける予算が少なくなるので、無駄な買い物をしないように購入対象の商品やサービスに優先順位をつけ、予算の範囲内で優先順位の上位にあるものから購入していくことになります。

好景気の時には買っていたかもしれないものでも、購入の基準が上がっているだけに、優先順位次第では「今は我慢」ということで購入につながらない、という事態に陥ります。つまり、給料が減り続けることが予測される時には購入対象から多くの商品やサービスが外れ、結果として一部の製品は売れないということになるのです。

それでは、自社の商品やサービスを優先的に購入してもらうにはどうすればいいのでしょうか? その重要な鍵を握るのが「マーケティング」ということになります。

マーケティングの定義

では、改めてマーケティングとは何でしょうか?

巷では「市場調査(マーケティング・リサーチ)のことだ」「テレビや新聞、雑誌などで商品・サービスを宣伝することだ」など、マーケティングに関して実に様々な印象が持たれています。それ自体は間違いではないのですが、マーケティング・リサーチやプロモーションはマーケティングの一部の「機能」であって、「全体」を表している訳ではないのです。

日本でマーケティング活動の研究や調査を行っている、日本マーケティング協会は「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」と定義しています。

このような定義を目にすると「マーケティングってやっぱり難しいんだな……」と感じる方もいるかもしれませんが、マーケティングの本質は実のところ非常にシンプルです。

マーケティングとは、「儲け続ける仕組みを作ること」。

この言葉にマーケティングの本質が凝縮されています。ただ、ここで重要なのは儲け続けるのは自社のみでなく、顧客も儲け続けなければいけない、ということです。つまり、マーケティングとは「自社と顧客の間にWin-Winの関係を永く築く仕組み」と言い換えることもできるのです。

企業は、顧客にコスト以上の価格で商品やサービスを提供することによって利益という儲けを手にします。一方で顧客は商品やサービスに対して代金を払ってもそれ以上の価値が得られれば「儲けた」という満足感を得ることができます。

たとえば、新しくオープンしたレストランがあったとしましょう。このレストランはオープンしたことをチラシなどを使ってお客様に知らせることになります。そして、そのチラシを見て興味をそそられたお客が来店して食事をすると、店の雰囲気や接客態度、料理の質など、様々な判断基準を自分の支払うお金と比較します。支払う代金よりも自分が得た価値や満足の方が大きいと感じれば顧客側はWinとなり、このレストランにまた来たいと思うに違いありません。レストラン側は、お客様からいただいた代金から費用を差し引いてプラスになればWinとなり、ここで企業と顧客のWin-Win関係が成り立つことになります。

マーケティングの「戦略」と「戦術」の違い

マーケティングは“戦略的思考”が重要な鍵を握る
マーケティング戦略の構築法を学ぶ前に、一つ知っておかなければいけないことがあります。それは「戦略」と「戦術」の違いです。果たしてこの「戦略」と「戦術」にはどのような違いがあるのでしょうか?

様々な定義がありますが、ここでは戦略とは「目標を達成するための方法を考えること」、戦術とは「目標を達成するための具体的な方法」としましょう。

ある会社が「100億円の売上を上げる」という目標を掲げたとしましょう。この目標を達成する手段や方法はそれこそ無限にあります。仮にこの会社が総合スーパーだとしたら、衣料品で100億円の売上を上げることもできますし、食品で100億円の売上を上げることもできます。他にも様々な商品の組み合わせで目標を達成することもできるでしょう。加えて、プロモーションにも様々な方法が考えられます。テレビや新聞、雑誌、インターネットなど様々なメディアを使ってプロモーションを展開することが可能です。

商品で言えば衣料品や食品、プロモーションで言えば、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなど具体的な手段や方法が「戦術」と呼ばれるもので、自社環境に照らし合わせてそれら無限にある戦術から、最も効率的にマーケティング目標を達成できる手段や方法を選択していくプロセスが「戦略」と呼ばれるものです。

マーケティング戦略の重要性

それでは、なぜその「戦略」と「戦術」の違いを知る必要があるのでしょうか?

前にもお伝えしたように、マーケティングとは「儲け続ける仕組み」です。ですから長い間にわたって結果を出し続ける必要があります。常に結果を出し続けるためには戦略が重要になってくるのです。ところが、多くの企業は「戦略」よりも「戦術」にとらわれています。他社でうまくいった成功事例=戦術を寄せ集めて自社に取り入れていく……。確かにこの方法でも短期的に効果が上がることはあるかもしれませんが、長期的な効果については疑問です。成功している手段や方法というのは、多くの企業が真似することによってすぐに陳腐化していくからです。

戦略というのは、自社の環境に合わせて最適な戦術を考えていくことです。外部からは見えずに競争優位を長い間保てるというメリットがある一方、戦術は具体的な手段や方法なので外部から見ることが可能で、成功すれば他社からすぐに真似されやすい、というデメリットがあります。ですから戦術のみで戦っている企業は、いつライバル企業から蹴落とされるかという不安が常に付きまとうことになります。

マーケティングでは戦略的に考えることが重要であり、環境に応じた戦術を自在に組み合わせることができる企業になれば、どんなビジネス環境においても確実に成長を遂げることが可能になるでしょう。

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