主婦の睡眠時間を1時間延ばす

今まで団塊の世代シリーズとして、戦後の日本を豊かに育ててきた立役者である人物をターゲットに、商品やサービスや文化の創造までのご苦労や開発秘話を紹介してきた。このシリーズ最後の今回は、戦後の代表的商品である「自動炊飯器」誕生の秘密に迫りたいと思う。発売から50歳、日本の台所を劇的に変えた自動炊飯器はどんな風に生まれたのか。

この自動炊飯器であるが最初は「電気釜」と呼ばれた。寝ている間にご飯が炊け、主婦の家事労働を大幅に減らし、「睡眠時間を1時間延ばした」とも言われたほどの衝撃を与えた。電気掃除機や電気冷蔵庫とともに三種の神器といわれたものである。電熱線を“かまど”や“おひつ”の底に封入するといった電気炊飯の発想は、文明開化のころからあったようだが試作レベルであった。

日本の台所革命児

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台所革命に革命を起こし、主婦に自由時間を提供した

 

電気炊飯器は1955年、東京芝浦電気(現在の東芝)から発売されたのが最初とされる。三種の神器の中で唯一、日本独自の発明品である。それまではかまどに薪をくべてお米を炊いていたのが、タイマーで寝ている間に炊けるようになった。スイッチを入れるだけで自動的に炊き上げる電気炊飯器の誕生、これは戦後の台所革命の筆頭にあげられるものだ。

実際に開発したのは、東京の大田区で町工場を営んでいた三並義忠、風美子夫婦である。電気温水器で業績を伸ばしていたが、1952年に進駐軍が撤退したことにより、注文が途絶え倒産の危機に追い込まれる。

そのような中次ページのように救いの神が現れた。