コーチング/人材育成・組織作り

プレイングマネジャーとは?部下やチームに対して持つべき3つの視点

プレイングマネジャーには、業務目標を達成することに加え、部下を育成するミッションが加わります。しかし、人材育成のトレーニングを事前に受けることはほとんどありません。日々の業務に取り組みながら部下やチーム育成に関わるためのヒントを紹介します。

平野 圭子

執筆者:平野 圭子

コーチングマネジメントガイド

プレイングマネージャーには総合的なマネジメント能力が必要

プレイングマネージャーが持つべき視点とは?

プレイングマネージャーには、自分の業績を上げながら同時に部下育成も行う高度な能力が求められる

マネジャー職を任命するとき、企業の多くはその人の仕事の能力や業績を評価し、特に営業成績優秀者などを抜擢します。しかし、ここでよく見逃されるのはマネジメント能力です。

マネジメント能力には、「人を育てる能力」が含まれます。業績を上げるだけの仕事の能力と、部下育成を含むマネジメントの能力はまったくの別物。本来なら部下育成に関するトレーニングが必要とされるところですが、変化が早いこのご時勢、マネジメント能力を育成してからマネジャーに任命するなんて、のんきなことも言ってられません。

プレイングマネジャーという立場で業績を上げながら、同時に部下育成をするというハードルの高い取り組みが要求されているマネジャーは大勢います。そこで、自分の業績を上げながら部下の能力を開発し育成するマネジャーとして、マネジメント力を向上するのに必要な3つの視点をご紹介します。
   

プレイングマネジャーの視点1:指示命令型かコーチ型か?

社会環境が急激に変化するなか、現場の情報を把握し、変化を先読みする力が組織に求められます。そのためには、マネジメントはトップダウン型からボトムアップ型に移行することが必要です。上で決めたことを指示命令系で遂行するコミュニケーションから、現場にいる部下から情報を引き出し上層部に上げるコーチ型のコミュニケーションをマネジャーは実践することが必要です。

以下は、従来の指示命令型とコーチ型コミュニケーションの違いを比較したものです。

■指示命令型
  • 結果だけを評価の対象としている
  • 部下の行動をコントロールしている
  • 部下の弱点に焦点を当てている
  • 自分のやり方を押し付けている
  • 問題を自分で解決しようとする

■コーチ型
  • 結果からではなく、過程から部下と関わっている
  • 部下が自発的に動けるようサポートしている
  • 部下の強みに焦点を当てている
  • 部下のやり方、強みを認めている
  • 部下が自分で問題解決できるようにサポートしている
あなたのマネジメントスタイルは、指示命令型でしょうか? それともコーチ型でしょうか? もし、指示命令型に傾いているようでしたら、コーチ型のスタイルを取り入れることを意識することから始めてください。
 

プレイングマネジャーの視点 2:モデルはいるか?

あなたが今まで仕えた上司で、一番印象に残っている人は誰かを思い出してください。そして、以下の場面を振り返ってみてください。
  • コミュニケーションのとり方はどうか
  • 仕事の依頼の仕方はどうか
  • 仕事に対する取り組みの仕方はどうか
  • 部下育成の仕方はどうか
では、次に自分の部下への接し方を振り返ってみてください。先ほど思い出した上司のやり方と似ているところはないでしょうか。

人が物事を学ぶ方法として最も早いのは、「人をモデルにすること」だと言われます。すなわち、人はよくも悪くも、無意識にも自分がモデルにしている人の方法を取り入れているのです。

部下の能力を高めたり、優秀な部下を多く輩出している上司に目を向けてみてください。そして、あらためて4つの項目を振り返ってみてください。その人のコミュニケーションのとり方や部下との関わり方に注目し、すぐにできるところから取り入れてみましょう。
 

プレイングマネジャーの視点 3:あなたがいなくても部署は動くか?

あなたがいなくなっても部署は動くかどうかは、とても大事ことです。もし、あなたが全面的に矢面にたって仕事を前進させたり、問題を解決しているようだとしたら、一時的に尊敬や注目を得ることはできますが、部下育成の視点から見ると長続きはしません。有能なマネジャーは、自分の姿を目立たせることなく目的や目標を達成し、かつ、仕事に携わった部下が「自分たちでやった」と思わせることができる力を持っています。

「私がいなくても部署は動くか?」
「部下は自分たちの力を発揮していると感じているか?」

このことを常に自問自答することです。

有能なプレイヤーが、有能なマネジャーに移行するのは簡単なことではありません。しかし、あきらかに1つの大きなシフトが起こった時に一歩前進します。それは、「自分の成果」より「部下の成果」に視点が動いたときです。

3つの視点を持って、日々マネジメントに意識を向けてみてください。大きなシフトは必ず起こります。

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