「マネジメント」と「リーダーシップ」の違い

マネージメントとリーダーシップとの違い

マネジメントとリーダーシップは役割が異なる

マネジメントとリーダーシップの関係は、過去様々な人によって考察・論議されてきました。経営の神様と称されるピーター・ドラッカーのように、「マネジメント力を上位概念としてリーダーシップ力をその下に紐付ける」という考え方や、変革型リーダーシップの旗手と称されるJ.Pコッターのように、「マネジメント力とリーダーシップ力をパラレルで捉える」という考え方など様々あります。

今回は後者の「マネジメントとリーダーシップは併存する」という考え方に基づき、それぞれの役割や機能の違いについて考えてみたいと思います。ビジネスシーンでの、マネジャーを管理者、リーダーを経営者と前提です。

■マネジメントとリーダーシップ
   

マネジメントとリーダーシップ、役割の違い

【経営レベルでは
  • リーダー:理念や目標や戦略を意味する方向性を示す役割
  • マネジャー:リーダーが示した方向性を実現するためにきめ細かい戦術を策定する役割
【環境変化に対しては】
  • リーダー:計算されたリスクに基づき、改革する役割
  • マネジャー:予想されるリスクを回避し、改善していく役割
【関心の対象は】
  • リーダー:「人」に着目しメンバーを鼓舞したり、士気を高めたりすることに注力。結果に辿り着くまでのメンバーのモチベーションに気を配る役割
  • マネジャー:「システムや機構」に着目して、人をコントロールしていくことに注力します。結果をきちんと出すための人・モノ・カネのやり繰りをする役割
【時間軸は】
  • リーダー:中長期的な視点を大切にする。未来志向
  • マネジャー:短期的な視点を重んじる。現実志向
【影響力の根源は】
  • リーダー:人望や属人的な要因などの権威
  • マネジャー:地位や状況的要因などの権力
リーダーとマネジャーの役割の違いをまとめると、

■リーダーとは
  • 何をするかを考える人
  • メンバーの士気を高め、鼓舞していく人
■マネジャーとは
  • 目標達成のためにやり繰りを考える人
  • メンバーを管理調整していく人

リーダー向きの人、マネジャー向きの人

以前の記事(リーダーシップのタイプ)で性格特性との関連について記述しました。人は、リーダー向きとマネジャー向きに大別できます。性格特性とは、潜在的能力を意味します。リーダータイプがマネジメント能力を身につけるには意識して取り組むことが必要です。同様に、マネジャータイプもリーダーシップ能力を意識して獲得することが求められるでしょう。リーダーは攻め、マネージャーは守りと捉えることができます。

リーダーシップのタイプ』で紹介したエゴグラムなどの性格分析ツールで、自分がどちらのタイプかを把握することは有効でしょう。タイプを踏まえた上で、能力開発をするのが合理的です。この2つの能力はヒューマンスキル、いわゆる人間系の能力です。組織にいる以上人を動かす能力が必要で、ヒューマンスキルはその役を担っています。一丸となって同じ目的に向かって業務を遂行するために、リーダーシップ能力やマネジメント能力を発揮させることが鍵となるのです。
 

リーダーシップ能力を磨くには

再度の基本的要件を整理すると、以下の3点に集約できるでしょう。
  • 方向性をわかりやすく明示し、メンバーの心に火を点け、「やらなければならないからやる」ではなく「やりたいからやる」とインスパイア(鼓舞)できる人
  • 個人およびチームの目標を法的および倫理的に正しいプロセスを経ることにより達成して、結果が出せる人
  • 今後のリーダー人材を育成することにより、企業の繁栄(継続的繁栄)に貢献できる人
こうしたリーダーシップ能力を磨くにはどうしたらよいかを考えてみましょう。リーダーには少なからずフォロワー(追従者)がいます。フォロワーはリーダーの背中を見ていることになります。背中の中身はリーダーのビジョンや人間性・人柄、これまでの実績などです。共感できるビジョンや何かしてあげたいと思われる人間的魅力です。以上を踏まえ、リーダーシップ能力醸成へのアクションプランを描くと、
  1. ビジョンを明確化し、それをメンバーに伝え続けること
  2. 風通しの良いコミュニケーションを心掛け、組織を活性化させること
  3. 任せることや褒めることで信頼関係を確立し、メンバー1人ひとりのモチベーションを上げること 
になります。リーダーは上記のモチベーションマネジメントに加え、会社の舵取り役。現代や近未来を的確に読む知識と英知、先見性が求められます。 事業の方向性を考えること、何をするかを考えるのはリーダーの役割。このためには常に五感を駆使し考えるクセをつけることが必要です。企業変革のための「3C」という分析の枠組みがあります。3Cとは、
  • Clarity
  • Capability
  • Commitment
の3つです。Clarityとは「何を変えるか」という視点。ここが変革を成功させるかどうかの分水嶺です。いくらCapability=「それを実現するための組織能力」やCommitment=「1人ひとりの強い意志や覚悟」があっても、変革すべき点がズレてしまうと元も子もありません。リーダーはここをはっきりとさせることが求められるのです。
 

マネジメント能力を磨くには

次に、マネジメント能力を磨くにはどうしたらよいかを考えてみます。マネジャーはリーダーが示した方向性・ビジョンを達成するためにどのようにやり繰りするかを考える人、メンバーを管理調整していく人です。

リーダーは巨視的な観点から未来志向のビジョンを描きます。マネジャーは逆に現実志向で微視的な観点から物事を捉えます。目標を達成するために必要なタスクを細分化し、時系列で、それぞれのタスクの役割・責任の所在を明確化し、計画通りに進捗していくよう、きめの細かい管理能力が求められるのです。以上を踏まえ、マネジメント能力醸成へのアクションプランを描くと、
  1. 決められた目標に辿り着くためのプロセスを各タスクに落とし込み、期間および責任の所在を明確化することを習慣付けること。端的に言えば、プロジェクトマネジメント能力を醸成すること
  2. やり遂げるための人やモノやカネを調達すること
  3. 環境整備、Capability(それを実現するための組織能力)を仕組化すること
になります。
 

組織の発展段階によって「攻めのリーダー」と「守りのリーダー」が必要になる

最後に、組織の発展段階における求められる人材像について考えていきましょう。

ある会社があります。創業時は一にも二にも売上拡大を図る時期ですので「攻めのリーダー」が求められます。創業して20年が経過し、100名規模の会社となりました。次のフェーズはさらなる拡大・発展のために、組織としてのシステムや仕組みを整備する時期です。この時期は「守りのリーダー」の出番となります。組織整備が完了した次のフェーズでは売上拡大戦略ですので、再び「攻めのリーダー」が必要になります。

このように、組織の発展段階に見合う戦略と組織が必要です。基本的なメカニズムとして、組織は突出期と平準期の繰り返しだといわれています。つまり、攻めの戦略下においては「攻めのリーダー」、守りの戦略下においては「守りのリーダー」が必要です。戦略と組織は不可分離だからです。こちらは能力や技能(スキル)というよりも性格特性(パーソナリティー)的な要素が強いと言えるでしょう。

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