社会学的な視点から捉えるリーダーシップ

第一次集団と第二次集団の違いとは

第一次集団と第二次集団の違いとは

社会学的な視点でリーダーシップを捉えてみたいと思います。社会学では、第一次集団、第二次集団という言葉があります。
   

第一次集団と第二次集団の違いとは

これはアメリカ合衆国の社会学者チャールズ・クーリーによって提唱された集団の概念で、第一次集団(primary group)とは日常的に直接接触しており、相互に一体感や連帯感が共有できているような集団です。

例えば、家族や近隣集団などが第一次集団とされます。これは成員間に密接な関係が築き上げられており、インフォーマルであるということが特徴です。ドイツ語の「ゲマインシャフト」に符合します。

これとは違って、成員間が間接的な繋がりである集団のことは第二次集団(secondary group)と言います。特定の利害や目的のため、人為的・意図的に組織された集団を示します。例えば、学校・組合・企業・政党・国家などです。構成員の間接的な接触、機能的な視点からの構成などを特色とします。ドイツ語の「ゲゼルシャフト」に符合します。

第二次集団にも、第一次集団にもリーダーが必要です。ただし、異なるリーダーシップスタイルとなります。
 

命令と服従は遅かれ早かれ破たんする

第二次集団の指導者とは(最高指導者であれ中間指導者であれ)、職制上の部下である構成員の言動を程度の差はあれ、左右できる権力(power)ないし権限(authority)を保有する人物を意味します。この場合、指導者と部下との関係は、原則として、“命令と服従”です。

これに対し、第一次集団の構成員全員が協力して一定の行動を起こす場合には、その行動の種類とか性格に応じて最適と認められた誰かがその行動をリードします。この場合、リーダーとその他の構成員との関係は、原則として“納得と共感”です。

例えば、家族の中では父親は経済的な面で一家の大黒柱であり、母親は家の中を切り盛りする上でのリーダー的な存在です。家族で食事をする場面での店の選択のリーダーは娘であり、旅行をアレンジする上でのリーダーは息子というような形で、シチュエーションによってリーダーが変わる形が特徴です。シェアード・リーダーシップと考えられます。

よほど卓越した能力と稀有な人柄を兼備した指導者がいれば、命令と服従の関係は第一次集団の維持・発展にとって最も効果的なあり方ですが、残念ながらそのような人材はどこの国でも極めてまれな上に、そのような人材が指導者になる確率も限りなく低く、さらに、組織ないし集団の規模が拡大したり、環境が変化したりするにつれて、指導者の“指導者として具備すべき能力”が柔軟に変化していくことを期待することも限りなく難しいでしょう。

したがって、“命令と服従”の関係で発展した組織では、指導者の持つ強大な権力ないし権限そのものが自壊の原因となることは、古今東西の歴史の示すとおりです。最近ではフセイン、ビンラディン、カダフィー大佐は象徴的な人物です。
 

世界的な企業は納得と共感を企業文化にしている

家族内では状況によりリーダーが生まれる関係と言えよう

家族内では状況によりリーダーが生まれる関係と言えよう

第二次集団がこうした危険=弱点を克服するためには、最高指導者の下に一人以上の複数の優れた資質(専門知識、人柄、決断力など…)を具備した中間指導者を配し、彼らと最高指導者、各指導者とその部下たちの間に“納得と共感の関係”を“企業の文化”として定着させ、あらゆる努力と注意を払ってそれを維持していくことしかありません。

具体的事例として、事実上戦後の日本産業界に登場し、短期間で世界に名を馳せたソニー、ホンダ、松下電器(現、パナソニック)を考えてみましょう。

ソニーでは井深大と盛田昭夫、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、松下の松下幸之助と高橋荒太郎のように、創業者は優秀な経営者とタッグを組み、命令と服従ではなく、納得と共感の関係でお互い敬意を払っていることに着目すべきでしょう。このようなトップマネジメントシステムを構築したことで長い間トップ企業の座を維持し続けたと考えられます。

納得と共感のリーダーシップがこれからは主流になりますが、「オピニオンリーダー」という言葉が最もフィットするでしょう。あるジャンル、専門分野においての影響力がある人が発信するメッセージに納得と共感を覚える形です。

これからネットワーク社会はますます加速していくでしょう。組織形態としては、集中管理型から分散型に移行していきますので、SNS等を有効活用し、今後はどんどん自ら発信し、オピニオンリーダーになることを目標に、習慣化していくことが求められるでしょう。

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