マーケティング/マーケティング事例

儲けないと宣言して儲け続ける会社って?(2ページ目)

社員に「儲けるな」と諭して38年間連続で経常黒字を維持している会社があります。なぜ儲けないと言っているのに儲け続けることができるのか?そのマーケティングのミステリーに迫ってみたいと思います!

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ファン客の増大による口コミの発生

ファン客を育成しよう!
顧客とのWIN-WIN関係の構築で顧客がファンに変わる!
顧客とWIN-WIN関係を構築し取引が長くなると、多くの顧客がその企業のファン客になっていきます。ファン客になれば余程のことがない限り、商品やサービスの浮気をしなくなります。たとえば、他社で新製品が出たとしても、顧客の方から「他社のこのような新製品と同じ商品はないのか?」と浮気をする前に確認をするお客も現れるでしょう。

それに加えてファン客を多く抱えることの最大のメリットは口コミにあります。友人や知人にことある毎に商品やサービスの推薦を自分の意志で行ってくれるようになるのです。このような口コミによるプロモーションは無料であり、他の広告宣伝に比べても購買率が非常に高く、効率の良いプロモーションになります。つまり、ファン客を抱えるということは無料で販売員を雇うのと同じ効果があるということです。

新規顧客獲得コストの低下

通常新規顧客を獲得するためにはチラシやDM、テレビ、新聞などの広告宣伝を行ったり、営業マンが顧客のところに頻繁に訪問したりして、多大なコストがかかります。ですから既存客の満足度が低く、リピート率に問題のある企業は焼き畑農業的に新たな顧客を獲得し続けるために多大なコストを負担し続けなければいけません。ところが、このようなマーケティング活動はコストばかりかかって結局は収益に結びつかないことも多々あります。これに比べて顧客と長期的な関係を維持して、ファン客を育成していけば、前にお伝えしたように口コミが発生します。この口コミによる新規顧客獲得は先ほど申し上げたようにコストが限りなくゼロに近く、企業の収益体質を良好に保つ役目を果たすようになっていきます。

このように顧客と長期的にWIN-WINの関係を構築して、長く取引いただくのはマーケティングの究極の目的です。このような目的を達成するためには、顧客の立場に立って商品やサービスの価格以上に価値あるものを提供することを心掛ける必要があります。そのような企業の真摯な態度に顧客は共感し、末永い取引を続けるようになるのです。企業にとって金儲けとは目的ではなく、あくまでも結果。「儲けない」と宣言して適正な価値を顧客に提供し続けるマーケティングはある意味理想的な戦略であるということができるのではないでしょうか。
 
【参考資料】
日経ビジネス2006年2月13日号 戦略フォーカス 地場力で稼ぐ


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