マーケティングのミステリー
お金を儲けるためには儲けすぎないことが重要?!
「儲けるな」と社員に諭して38年間連続で経常黒字を維持して来た会社があります。その会社とは、広島市に本社を置くウツミ屋証券。同社の打海社長は営業社員に「儲けるな。しかし損はするな。」という独自の経営哲学を説き続けてこの偉業を達成してきました。儲けないのに儲け続けるからくりはいったいどこにあるのでしょうか?マーケティングの観点から分析してみたいと思います。

顧客の信頼の獲得

企業が繁栄するために重要なことのひとつは顧客からの信頼を獲得するということです。マーケティングはこの信頼を獲得するための仕組みとも言えます。顧客は会社のことを信用して初めて財布の紐を開き、商品やサービスを購入するのです。たとえば、あなたは「弊社はお金儲け主義です」と標榜している会社を信頼して喜んでお金を支払うことができるでしょうか?一方で、お金儲けのためでなく、お客のために一生懸命サービスを提供してくれる会社が存在したらどうでしょうか?両者を比較した場合、多くのお客は後者を信頼し長く取引をしたいと思う気持ちは必然のことと言えます。

収益第一主義の考え方に立てばどうしてもお客の立場に立ってビジネスを行うというよりは、お客に少し位迷惑を掛けてでも売上を上げていこうという姿勢が表れるようになります。たとえば証券会社であれば長期的な株の保有を薦めるよりは、顧客の都合にかかわらず手数料収入の上がる短期的売買を薦めるといった具合です。一方で、顧客第一主義の考え方では、お客に適正な価値と価格のバランスを備えた商品やサービスを提供し、長期的な顧客の利益を追求する会社の姿勢によって、ビジネスにとって最も重要な信頼を獲得することができます。顧客はこのような顧客第一主義の会社の姿勢に対して自分にとって不要な商品やサービスを売りつけることがないという安心感を持つようになっていくのです。

顧客生涯価値の向上

顧客は企業を信頼して、安心して取引できるようになると、その企業と長く付き合うようになります。そして、顧客が企業と長く付き合うようになると顧客生涯価値が高まってきます。顧客生涯価値とは一人の顧客が一生の間に企業に与える価値のことです。たとえば、1回の利益が1万円でも、1週間に1回取引があれば月に4万円です。1年に換算すれば、その利益は52万となります。このように顧客から得られる利益は取引が長くなれば増大していきますから、企業は顧客との長期的な関係を構築することが重要な命題になります。「大きく儲け過ぎない」経営は短期的には収益が上がらないかもしれませんが、企業と顧客のバランスの良いWIN-WIN関係を長期に亘って維持することが可能となり、収益に大きな影響を及ぼす顧客生涯価値が向上していくのです。

まだまだある儲けないのに儲ける秘訣は次のページで!