営業のノウハウ/営業のクレーム対応

【連載】クレームの心理学 クレーム応対の極意(2ページ目)

クレームは、応対次第でお客様との関係を深めるきっかけにもなり、お客様との関係が途切れるきっかけにもなります。心理学をベースに、科学的なクレーム応対法を考えてみましょう。

執筆者:鹿俣 之信

ペナルティーを受ける

お客様の信頼を裏切る行為をしてしまった場合、責任をとらなければなりません。責任逃れや責任転嫁をしないことは当然ですが、ポイントは「ペナルティーを受ける」ということです。

クレーム応対は「お客様をうまく丸め込む」ことではありません。自分たちの失敗や落ち度を、何のペナルティーもなしに口先だけで回避しようとするのは、ますます信頼を失墜させることになります。

ペナルティーとは、信頼を裏切る行為をしてしまった代償として、時間やお金や労力などをお客様のためにつぎ込むことです。そうすることで関係のバランスを回復するわけです。商品やサービスの無償提供は、簡単で効果の高いペナルティーの例です。

「ペナルティーなんて何を馬鹿な!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。顧客を失うということは、今の売上を失うだけではなく、将来の売上をも失うということです。取引が継続した場合に予測される将来の売上累計額(顧客生涯価値)を計算してみてください。少しの投資で顧客を維持できるなら、このペナルティーがどんなに安上がりな投資であるかが理解できるはずです。

運命はお客様の手に

最後に、今後の取引を継続するかしないかを決める権限は、お客様にあるのだということを伝えます。お客様は、信頼を裏切る行為を罰したいという欲求を持っています。そのため、今後の運命を決めることのできる権限を与えることで、その欲求を満たすのです。

次回は・・・

このクレーム応対法は、心理学がベースになっています。次回は、その心理学的背景について解説します。

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明
第7回 人を服従させる権威の力
第8回 連合によるイメージ操作

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