商品やサービスに不満がある顧客のうち、実際にクレームを言う顧客は10%未満。90%以上の顧客は、不満があっても黙っています。ほとんどの場合、顧客はクレームも言わずに黙って競合他社のもとへ去っていきます。

一方、ある企業の調査によると、クレームが適切に解決された場合、顧客の再購入率は80%を超えることが分かっています。クレームは、顧客との関係を深めるきっかけにもなり得るのです。

これまで、クレーム応対のマニュアル本というと、話し方を中心にしたものがほとんどでした。しかし、クレーム応対の本質は、どのような話し方をするかではなく、顧客の心理に沿った応対ができるかにあるのです。

今回は、心理学をベースにした科学的なクレーム応対法を考えてみたいと思います。

敬意を持って接する

クレーム応対において、おそらく最も大切なことは「敬意を表わす」ことです。これは、クレームがこじれてしまう原因を探るとよく分かります。

クレームがこじれてしまう最大の原因は、お客様に対する敬意が欠けていることです。電話をたらいまわしにしたり、面倒くさそうに話したり、口先だけで丸め込もうとしたり、お客様の都合より自社の都合を優先したり。お客様が「ブチッ」と切れるのは、敬意が欠けているからなのです。

クレームの電話を受けたとき、あなたはどんな気持ちになりますか?「面倒くさい電話に出てしまったな」「そんなことでいちいち電話してくるなよ」そんなことをチラッとでも思ったら要注意です。

お客様は信頼を裏切られたことで自尊心が傷ついています。少しでも敬意にかけた応対をすれば、お客様の自尊心はさらに傷ついてしまい、関係の修復が困難になってしまいます。

聴くことに徹する

過去に同じようなクレームがあった場合、お客様の話を最後まで聞かずに解決策を話し始めてしまうことがあります。たしかに、それはそれで問題は素早く解決するのですが、お客様が望んでいるのは問題解決だけではありません。

お客様は「不満を話したい」という欲求を持っています。もし、お客様の話を聞いている途中で、クレームの解決策が思いついたとしても、そこでお客様の話をさえぎってはいけません。お客様が話したいことをすべて話し終えるまでは、聞くことに徹するのが原則です。

ここで大切なのは、お客様が何を不満に思っていて、何を要求しているのかを確認することです。そのためには、ただ話を聞くだけではなく、効果的に「質問」を織り交ぜて、情報を聞き出す必要があります。(聞く技術を参照)

心から謝罪する

お客様の話をじっくりと聞き、クレームの内容を把握したら、お客様に謝罪します。許してもらいたいなら、まず謝るのが筋です。私たちは、問題の解決を急ぐあまりに「申し訳ございません」の一言を忘れてしまうことがあるので注意が必要です。

ただし、口先だけの「申し訳ございません」は、すぐに見抜かれてしまいます。本当に悪いと思えないなら、口にするべき言葉ではありません。

大切なのは、お客様の心情に思いをめぐらせることです。「失礼な扱いを受けて、どれだけ不愉快な思いをされたのだろう」「楽しみに待っていた商品が届かなくて、どんなにがっかりされただろう」それができれば、自然と心のこもった「申し訳ございません」が言えるはずです。

次は、関係を修復するための「ペナルティー」について → 次へ

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる
第6回 他人の真似をする社会的証明
第7回 人を服従させる権威の力
第8回 連合によるイメージ操作
第9回 初頭効果と親近効果

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