■ ペナルティーを受ける
お客様の信頼を裏切る行為をしてしまった場合、責任をとらなければなりません。責任逃れや責任転嫁をしないことは当然ですが、ポイントは「ペナルティーを受ける」ということです。
クレーム応対は「お客様をうまく丸め込む」ことではありません。自分たちの失敗や落ち度を、何のペナルティーもなしに口先だけで回避しようとするのは、ますます信頼を失墜させることになります。
ペナルティーとは、信頼を裏切る行為をしてしまった代償として、時間やお金や労力などをお客様のためにつぎ込むことです。そうすることで関係のバランスを回復するわけです。商品やサービスの無償提供は、簡単で効果の高いペナルティーの例です。
「ペナルティーなんて何を馬鹿な!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、よく考えてみてください。顧客を失うということは、今の売上を失うだけではなく、将来の売上をも失うということです。取引が継続した場合に予測される将来の売上累計額(顧客生涯価値)を計算してみてください。少しの投資で顧客を維持できるなら、このペナルティーがどんなに安上がりな投資であるかが理解できるはずです。
■ 運命はお客様の手に
最後に、今後の取引を継続するかしないかを決める権限は、お客様にあるのだということを伝えます。お客様は、信頼を裏切る行為を罰したいという欲求を持っています。そのため、今後の運命を決めることのできる権限を与えることで、その欲求を満たすのです。
■ 次回は・・・
このクレーム応対法は、心理学がベースになっています。次回は、その心理学的背景について解説します。
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■ 【連載】説得と交渉の営業心理学 |
第1回 二度目は断れない |
第2回 拒否させて譲歩する |
第3回 一面呈示と両面呈示 |
第4回 結論を言わない暗示的説得 |
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる |
第6回 他人の真似をする社会的証明 |
第7回 人を服従させる権威の力 |
第8回 連合によるイメージ操作 |
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