街で愉しむ森のウイスキー
冬、早朝の白州。下部の中央付近から右にかけての森の中に蒸溜所はある。左上の白い頂の山が甲斐駒ケ岳(撮影/川田雅宏) |
シングルモルトウイスキー白州が生まれる白州蒸溜所は、山梨県は南アルプスの甲斐駒ケ岳の麓、白い砂の扇状地が広がる場所にある。標高700メートル近く、世界でも稀な高地に位置する蒸溜所だ。しかも約82万平方メートル、東京ドームの64倍という広大な森の中に佇む。
4月下旬、ゴールデンウィーク前の貯蔵庫周辺は、香味を想わせる爽やかな若葉の色で華やぐ(撮影/川田雅宏) |
特別な環境でつくられたウイスキーを街で飲む。バーのカウンターで、マンションの一室で森のウイスキーを飲む。日々自分自身をプレゼンテーションして生きていかなければならない現代人のために、心身の安らぎをもたらしてくれる最適な香味だとわたしは思う。
若者が生み出すウイスキー・ムーブメント
若い飲み手の方たちに、こうした新しい感じ方を愉しんでいただきたい。どんなウイスキーも素晴らしい。でも今夜は森へ行こう、街の森林浴を愉しもう、シングルモルト白州を飲もう、そんなムーブメントが若い人たちから起これば、ウイスキーはまた新しい世界を創出できるようになる。ハイボール人気がつづいているが、白州10年、12年をハイボールで飲むのもいい。ソーダで割っても香味が崩れることなく、しなやかな甘み、森の香りが口中に広がる。
若者たちが、森のウイスキーをスタイリッシュに愉しむようなシーンがみられるようになれば、再びウイスキーの時代がやってくる。
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