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ウイスキー&バー/ウイスキー、おススメのこの一瓶

いま、もっとも気になるウイスキーは何か?(3ページ目)

4月のウイスキー関係のニュースで気になった2製品を紹介する。5月から日本ではなく、欧州で先行発売される響12年。もうひとつはフェノール値100ppm以上というアードベッグ スーパーノヴァだ。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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星の爆発、アードベッグ スーパーノヴァ

アードベッグ スーパーノヴァ
アードベッグ スーパーノヴァ/700ml/58.9%/ノンチルフィルター
アイラモルト、アードベッグ スーパーノヴァ(¥10,500)は4月8日に限定発売された。そんなにたくさんは流通してはいない。買い求めるとすれば主要百貨店を訪ねたほうがいいだろう。
製麦時におそろしくピートを焚き込んだ、フェノール値100ppm以上という驚異的な数値を謳ったシングルモルトだ。スーパーノヴァとは「超新星」、星の爆発をイメージして名付けられている。
とはいっても、とんでもなく、おぞましいほどスモーキーさのある香味かというとそうではない。アードベッグの香味の凝縮感にあふれている。特長としては、たしかにタールやダークチョコレートの感覚が強いが、後にコショウや唐辛子のようなスパイシーな感覚を得る。加水すると独特のタバコのようないがらっぽさが出てくるが、それでもスパイシーさは崩れない。ストレート時の黒コショウから白コショウに変じたとでも表現しようか。とにかく、そんな感じだ。

開発者であるグレンモーレンジ社蒸溜・製造総責任者のビル・ラムズデン氏に話を聞いたが、一声はこうだった。
「スモーキーでソルティなウイスキーをつくりたかった」
ラムズデン氏はグレンモーレンジ シグネットに関することで会ったときも、「スパイシーなウイスキーをつくりたかった」と語ってくれたが、スパイシーな香味づくりを目指す非常に注目すべき人物といえる。ザ・マッカランのエステリー、サントリーのエステリーといった香味の対極を創造しつづけているのだ。
そしてわたしが気になるのは、いつも新しい試みをしつづけているところにある。自分のつくりたいものをつくっているところにある。

つくり手の想いが伝わってくる

ビル・ラムズデン氏
ビル・ラムズデン氏
アードベッグ スーパーノヴァはえぐいほどのピーテッドモルトの使用だけではなく、熟成樽にもアードベッグの新しい世界を垣間見ることができる。
スーパーノヴァのモルト原酒はバーボン樽熟成原酒70%、シェリー樽原酒30%の比率。シェリー樽は2001年から扱いはじめたコモンオーク(スパニッシュオーク)。オロロソを1年寝かせたものだそうだ。わずかだがホワイトオークのシェリー樽熟成原酒も含まれているという。
試飲した時、若さを感じたのは2001年からのシェリー樽熟成原酒にあるかもしれない。ただその若さはマイナスではなく、いいバランスの中におさまっている。
ラムズデン氏のこうした実験的なノンエイジ製品の開発にわたしは敬意を表す。
熟成年数にこだわれば、新しい香味の開発の足かせとなる場合もある。
酒に限らず、最大公約数から生まれた製品だなと感じることが最近多い。やたら調査に時間を費やし、お偉いさんたちにプレゼンテーションを繰り返し、よくまとまっているがなんだか面白味のない製品になっちゃっている、と感じてしまうことがある。
響12年にしてもスーパーノヴァにしても、つくり手の想いが伝わってくる。ものづくりとは、こうでなくてはならい。

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