角瓶とオンリー・イエスタデイ
カクテルの人と思われがちだが、古田土氏はウイスキーにも詳しい。スコットランド、とくにアイラには精通している。それもあってこの店ではアイラモルトがよく飲まれている。あとはジャパニーズシングルモルトも良く出る。で、天の邪鬼のわたしは、他になんかない、と聞く。するとにこっと笑って、「角瓶のスタンダードが43°だった頃のボトルがありますが、ハイボールにしますか?」と言うではないか。
シングルモルトに振ってこないのが、面白い。こっちがそういうタイプの人間ではないことを読んでいる。
たしかスタンダードの43°は、21世紀には40°に変わっている。いま43°は『角瓶<黒>43°』で味わえるのだが、スタンダードの20世紀ものだからなんだという訳でもなく、ちょっとした余興として愉しんだ。
するとねこれが酒場なんだよね。オンリー・イエスタデイが蘇り、ちょっとばかり古い話に花が咲くんだ。これもいい時間のひとつ。
清潔感から熟成感へ
広々、ゆったりとした店内。 |
カウンター8席、5~6人程度が座れるテーブル席がひとつ。非常にゆったりとした空間だ。カウンター席の背後なんて、とても広々としている。
ボトル棚の下、グラスを収納する温度管理がなされたショーケースが清潔感を物語る。独立して、ここまでやったか、ああやっぱり資生堂で修業した男だな、と感じる。
40代半ば過ぎ。長く修業して、しっかりとした土台を築いた男がこれからどんな店を育んで行くか、バーテンダーとしてどんな熟成を見せるか、客として見守っていきたい。
穏やかな肩の凝らない接客をする古田土氏だから、初めてでも、女性一人でも身構える必要はない。是非、訪ねてみてほしい。
INDEX「おすすめのバー・東京」も一読いただきたい。
東京都中央区銀座8-7-4 丸源21ビル5階
tel.03-5568-1007
18:00~3:00(土 ~23:00)日祝休
チャージ¥1,000 ウイスキー¥1,000~ カクテル¥1,300~
(マティーニ、ギムレット¥1,500)