静かで穏やかなマティーニ

いつも温厚な古田土氏。
いつも温厚な古田土氏。
資生堂パーラー・バー・ロオジエからファロ資生堂と、長らく資生堂グループでバーテンダーをしていた古田土(こだと)雅行氏が独立した。店名は『Bar Shake』。昨年12月にオープンしたばかりだ。

ずっとカクテルばかりつくっていた男が自分の店をもっても、仕事ぶりはそうは変わらない。「モルトが人気ですから、やはりウイスキーも出ます。でも7~8割はカクテルですね」と話す古田土氏にマティーニをつくってもらう。
まろやかなマティーニだ。ジンとベルモットの比率は5対1。どちらの香味も立ちすぎることなくほどよくステアされ、静かに穏やかにグラスに収まっている。
これが5対1のマティーニ。
これが5対1のマティーニ。
わたしはエクストラドライといったマティーニを好まない。気分によって7対1を飲むことがあるが、通常は5対1。だから古田土氏の味わいはすんなりと心地よく口中に浸潤する。

温厚な古田土氏の人柄と同じく、カクテルもまた優しい味わいだ。以前から、彼は割烹でも、寿司屋でもどんなカウンターでも似合ってしまうのではと感じていた。
職人的なサービス業が、彼にとって天職なのだろう。いつも穏やかな笑みがある。客に安心感を与え、カクテルには安定感がある。

ハードシェークと温厚さ

ハードシェークから生まれるギムレット。
ハードシェークから生まれるギムレット。
シェークはハードシェークだ。ハードシェークが砕氷、つまり氷のチップをカクテルの液面に浮かばせるための技術と勘違いしている人がいるが、そうではない。氷のチップはあくまでもハードシェークの副産物にしかすぎない。
ハードシェークはアルコールに気泡を送り込んで、まるく膨らませるという理論だ。細かく滑らかな気泡をカクテルに抱かせ、アルコールの強さを柔らかく感じさせるようにする。

マティーニの次にハードシェークのギムレットを飲んだ。シェーク法とともに
古田土氏の温厚さが相まって、まるく口当たりの良い一杯を愉しんだ。まるいがキレもある。ジンが苦手な人でも味わえる佳品といえる。
次のページではウイスキーについて語る。
次頁へつづく)