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ウイスキー&バー/この店の、この一杯

この店の、この一杯 第51回 南青山『BAR RAGE』(2ページ目)

北添智之氏の新しい店。アンティークボトルの圧倒的な数に驚かされるが、ミクソロジストとして、フルーツカクテルや料理にも力を入れており、すべてに充実した店内だ。小部屋も4部屋あり、大人数にも対応する。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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アンティークボトルに小部屋と、ここまで書くとなんかマニアックで高級そうだと思われるかもしれないが、そうではない。レアなウイスキーをしたり顔で飲む店ではないと断っておく。

北添氏(写真上)のいいところはジャパニーズウイスキーを大切にしている点だ。響(¥1,600)、山崎(¥1,400)、余市(¥1,400)といった高品質のジャパニーズを客にすすめる。それは彼がジャパニーズの良さを認めているからであり、またジャパニーズに限らず世界の蒸溜所の稼働率がどんどん下がり、現行製品が売れなければウイスキー産業は衰退してしまうことを危惧しているからだ。

スコッチのいまを見ればわかる。ここ10年の間にどれだけの数の蒸溜所が閉鎖に追い込まれているか。
だからレアものばかりすすめたり、昔のウイスキーの味はよかったなんて話ばかりしているバーテンダーっていうのは、ウイスキー産業に貢献しているとはいえない、と私は思っている。

フルーツも料理もいける。

さて、最初にフルーツのことを書いたが、『BAR RAGE』では旬のフルーツや新鮮なハーブをふんだんにつかったカクテルも自慢のひとつだ。そしてバーではよくサービスでナッツといった乾き物を出すが、ここではフルーツがその役目をする。気がつくとサッ、サッとフルーツが目の前に置かれている。

フルーツカクテルだけでなく、スタンダードなカクテルも旨い。
バーテンダーではなく、ミクソロジストと名乗っていることでも、カクテルを愛する姿勢がうかがえる。
料理もいい。肉料理、魚料理、すべてが本格的だ。カレーやうどんまである。ウイスキー、カクテル、フルーツ、料理といったサービスを見ると、バーテンダーというより飲食のゼネラリストを目指しているようでもある。だから大きな意味でミクソロジストは正しいのかもしれない。空間、時間、味覚のミクソロジストである。

北添氏は37歳。銀座でバーテンダー修業していた20代の若い頃の彼を知っているが、どんどん人間的に大きくなってきている。途中、パン職人の修業、イタリアンの修業もしている。すべてが『BAR RAGE』に至るまでの道のりだった。

彼の成長を見る度に10歳も年長の私は「いったい何をやってきたんだろう」と悲しくもあるが、いつも彼からは元気をもらっているのだ。だからとてもありがたい存在だ。

店に入ると「いらっしゃいませ」と大きな声が響く。元気のいいバーであることを付け加えておく。朝5時まで営業で無休。

INDEX『ガイドおすすめのバー・東京』もご覧いただきたい。






※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。
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