ちなみに値段はとてもリーズナブルで、グレンフィディック12年は¥550、グレンリベットは¥750で飲める。
高橋氏はたくさんのボトルに囲まれながら極めて自然体でカウンターに立っている。快活に歯切れのいい口調で客の応対をする。
ウイスキー・メニューが凄い。愛情あふれる説明書きはそのままモルト事典に使えるほど。モルト体験の浅い人には格好の入門書だ。壁にはユーモラスなお面が飾られ、その口にはシガーが突っ込んである。テーブルのスタンドメニューはシガーリスト。シガーの値段は小売り価格のまま。
「ウイスキーもシガーも自分の好きなもの。それをサービスしてお客様の満足された顔が見られる。私は幸せものです」
高橋氏は初対面の時、カラッとこう言い放った。客の呼吸が楽になるような、清々しい喋り方だった。
上手なウイスキー・タイムの過ごし方
食事も充実している。パスタ(¥1,000~)、ピザ(¥1,000~)があり、プロシュート、パルミジャーノもある。ここではお腹も満たすことができる。たとえばだ。もるとやに限ったことではなく、フード・メニューがバーとしては充実していて、それなりのレベルの味わいを提供している店に入った場合、こんな過ごし方をしてみるといい。
まずは爽快な一杯で口をしめらす。ジン・トニックやジン・リッキーでもいい。ウイスキー好きならソーダ割り、ハイボールではじめよう。一、二杯飲みながら料理を待つ。料理が出てきたら、そのままハイボールをつづけるか、または水割りにするといい。
通常の氷を入れた水割りでもいいが、私の場合は氷は入れない。ウイスキー1に対して、ミネラルウォーター2という薄目の優しい水割りを飲みながら料理をいただく。いいウイスキーというのは、水で柔らかく薄めていっても延びがよく、バランスが崩れず、本来の香味をしっかりと残している。こうして食中もウイスキーを愉しめばいい。
そして食後。これはもうしっかりとウイスキーを堪能しなければならない。アフターディナー・カクテルを一杯だけ浮気して飲んでもいいが、できるならウイスキーをつづけたい。コクのある深い熟成感のあるウイスキーをストレートかオン・ザ・ロックでゆっくりと味わってみたらどうだろう。
まずはもるとやで、高橋氏のサービスを受けながらこんなウイスキー・タイムを過ごしてみるといい。
多くの人たちが、ビールを飲んで、焼酎を飲みながら食事をして、じゃあもう一軒行こうと、その後の一軒でやっとウイスキーにたどり着く。翌朝、二日酔いで目を覚まし「ウイスキーを飲むとどうも次の日に残る」なんてことを言う。そうではない。これはウイスキーのせいではなく、長い時間飲んで、しかもビール、焼酎、ウイスキーが体の中でミキシングの悪いカクテルになってしまっているからだ。それに長時間飲むということは、睡眠時間を削ってしまっていることになる。
ウイスキーは悪くない。だって森林浴の酒である。それに関しては『ウイスキーって森林浴なんだ』の記事を参考にしていただきたい。とにかく、もるとやへ行きなさい。
夕方5:00から翌朝5:00まで営業。しかも無休という。これだけでも素晴らしい店だ。
おすすめ『おすすめのバー・東京』もご覧いただきたい。
もるとや
東京都豊島区東池袋1-8-6 第2佐々木ビル1階
Tel.03-5952-9277
17:00~5:00(祝~2:00) 無休(元旦のみ休)
チャージ無し、ウイスキー¥550~、カクテル¥1,000~、フード¥750~