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ウイスキー&バー/この店の、この一杯

この店のこの一杯 第34回 銀座『スペリオ』の酔い心地(2ページ目)

酒を飲みながら、酒を語り過ぎる時代。粋な飲み方、飲み手のダンディズムというものが失われつつある。やたら酒を崇め、酒に翻弄されることなく、泰然とした酔人になろう。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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『スペリオ』のウイスキーの品揃えは充実している。オールドボトルも数多くある。
おそらく30年以上前のものとなるだろうホワイトへザー・デラックスなんていうレアものがある。これは日本には流通していなかったものだ。
特有の枯れた印象の中に甘みとコクがある。
もうひとつ、80年代のヘイグ・ゴールドラベルも私のお気に入りだ。甘くしっかりした樽香がなんともいえずいい。
正直いえば、シングルカスクだ、オールドボトルだ、といったレアものに私は興味がない。三十代以下のバーテンダーを相手に会話すると“お互い勉強中”といった様相になるのだが、彼を前にするとそれがない。
泰然と飲めるのだ。
彼からマニアックさを感じないのがまたいい。

「棚の前列にオールド・ボトルを置いておくと興味を持っていただけるんですよ。でもレアものはいずれは無くなるもの。決してメインではない。できるだけこだわらず、幅広く愉しんでいただければ嬉しいですね」
そう語る吉田氏の自分の好きな銘柄はザ・フェイマス・グラウス・ファイネスト。これは私の好みと一致する。
スペイサイドモルト特有のフルーティで芳醇な香味。後味はすっきりとしてやや辛口。何よりも値段がリーズナブルなのがいい。
勝手だが、フェイマスの好きなバーテンダーは安心できる。

店はゆったりとしたつくりだ。押し込んだところがない。
男ふたり、また女性を伴ってもいいだろう。三十代後半から四十代が客層の中心で、八十代の常連もいる大人の店だ。二十代はまずいない。
吉田氏が年配客と語る銀座今昔話に耳を傾けながら飲むのも愉しい。
パスタ、ピザ、オムライスといった料理もいける。
まあ何よりも、たかが酒、されど酒の姿勢がいい。こういう店で自分なりの飲み方を見つけると、随分と粋になれるはずだ。
(写真/バーテンダー吉田均・太田隆生)

スペリオ
東京都中央区銀座7-7-14 東幸ビル2F
Tel.03-3571-6369 18:00~3:00(土~23:30) 日・祝休
チャージ¥1,500、ホワイトへザー・デラックス¥2,200、ヘイグ・ゴールドラベル¥1,500、ザ・フェイマス・グラウス・ファイネスト¥1,000



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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。
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