すべてに柳倉武氏のバーテンダー・スピリッツが染み込み、40年の年月が積み重ねられ、煌めいたといえよう。英国のクラブ的な感覚があり、漢字を当てて倶楽部といったほうがしっくりいく。
ウイスキーの品揃えは凄い。柳倉氏が認めたものしか置いていないというが、ボトルの数は300本にもおよぶ。
カウンターの奥のサイドボードには店の創業年に蒸溜された1963年の秘蔵シングルモルトが飾ってある。ただし全部は置いていない。『スキャパ1963』のように気に入っているものの多くは自宅に保管してあるらしい。
「これ見よがしに高い稀少ボトルをたくさん置いとくのも嫌味じゃない」
柳倉氏はこう語る。わかる人がいればそれでいいらしい。
『一葉』という店名は、柳倉氏の少年時代の愛読書だったO・ヘンリーの『最後の一葉』から名付けたものだ。
「あの物語は、病床の友を勇気づけるためのペイントした葉だった。独立して店を持った時は若かったから、自分の店もペイントした一葉と思えば、3年で潰れてもいいやって。何か残せるかなって。そんな気持ちで“一葉”という名にしたんだ」
厳しさと優しさを併せ持つバーテンダー、柳倉武氏。2003年、40周年を迎え、ほんの一葉は、大樹となって葉を茂らせている。
SCOTCH CLUB ICHIYO
東京都港区新橋1-9-1 北川ビルB1
Tel.03-3289-1400 18:00~0:30 土日祝休
チャージ¥2,000 アンティクァリー¥1,200 ウイスキー¥1,200~
カクテル¥1,400~