アンチエイジング/アンチエイジング基礎知識

脳のアンチエイジング

脳のアンチエイジングを行って、意欲や判断力の低下、運動機能の低下、読み・書き・計算能力の低下、ホルモン力の低下など、脳が関係する老化を予防しましょう。

宇山 恵風

執筆者:宇山 恵風

アンチエイジングガイド

脳の老化は生まれたときから始まっている?

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脳の老化は生まれたときから始まるが、経験と学習を重ねれば脳のネットワークはどんどん成長する
「人の名前が覚えられない」「計算が遅くなった」「集中力がない」など、若い頃よりも脳が衰えたと感じる人は多いはず。昨今の脳トレや脳に関するベストセラー本の成功を見ると、現代人の脳老化に対する恐怖心はかなり大きいようです。

生まれたときには140億個ほどあった脳細胞は、70歳になると約半分の70億個に減ってしまいます。脳細胞の数からすれば生まれたときから脳の老化は始まっているともいえますが、脳細胞の数が減っても成長すれば話ができるようになったり、文字が書けるようになったりと、脳はどんどん高機能になります。その理由は、脳細胞同士を結ぶニューロンという神経回路がネットワークシステムとなって生き残った脳細胞を連結して機能を高めているからです。

熱意と関心を失わないことが老化予防になる

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脳の衰えをあきらめないことがアンチエイジングにつながる
やはり30歳を過ぎた頃から個人差はあるものの、冒頭で紹介した「昔とは違う脳の衰え」を感じる人は多いでしょう。人間の脳はコンピューターとは違い喜怒哀楽や好き嫌いがあるため、機械的に情報を処理したり、暗記を繰り返したりはできないのです。

受験勉強のときに英単語をすらすら覚えられたのは、大学受験という目標を達成する熱意と関心があったから。入社当時に人の名前を覚えられたのは、会社に馴染もうという熱意と関心があったから。ベテランになれば若手が自分の名前を覚えてくれるし、必死に名前を覚えなくても自分の地位が危うくなることはないから、名前を覚える熱意と関心は低くなるわけです。大抵の場合は脳細胞が死んだわけでも、ボケたわけでもないはずですからご安心を。

大切なのは「関心と熱意」です。年齢に合わせて自分の関心が持てることを探していくことが大切。「何にも関心がもてなくなってしまうこと」こそが、本当に深刻な脳の老化を招く危険を持っているのです。

脳の老化の分類

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脳の老化にも種類があり原因も異なることを知っておこう
ガイドは脳の老化を次の5つに分類しました。私たちが抱える「もしかして、これって脳の衰えが原因?」と思い悩んでしまいそうな内容を分類して、脳の老化とどう関係しているかを説明し、その対処法についても紹介します。

1. 意欲や判断力の低下
2. 運動機能の低下
3. 読み・書き・計算能力の低下
4. ホルモン力の低下
5. 命にかかわる脳の老化

意欲や判断力の低下と脳の老化

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孤立せずに人とのつながりを大切にすることも脳の老化を予防する
脳のアンチエイジングに欠かせないものは、「熱意と関心を失わないこと」だとガイドは思います。意欲や判断力、統率力、コミュニケーション力などは、大脳の前頭連合野という頭の前方にある脳が関係しているといわれ、そこでは人間らしいより複雑で高度な情報処理をしています。

それが影響しているのかもしれませんが、年をとると人付き合いが疎遠になったり、孤立しがちです。しかし、人間はなかなか一人では生きて生けないもの。チームワークや友人との交流を持ち続け、相手の気持ちを考えたり、大切な友人といい関係が保てる幸せを味わうことが、生きる意欲やコミュニケーション能力を失わない方法だと思います。

いつも同じ会社の仲間とばかり話をするのではなく、共通の趣味の仲間と集ったり、ボランティア活動や地域活動に参加するのもいいことだと思って、ガイドも30代から人に喜ばれるボランティア活動を行っています。「笑顔が元気をくれた」という表現もありますが、いい笑顔に出会うとこちらまで笑顔になって、とてもいい気分になるからボランティアはやめられません。実はこれも、「ミラーニューロン」という前頭連合野にある神経細胞のネットワークによって起こる反応だということがわかっています。

運動機能の低下と脳の老化

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運動神経は使わないと退化するので時間を作って運動を続けよう
体のバランス感覚が悪くなったり、手先が不器用になるなどの運動機能の低下は、小脳や大脳の前頭葉と関係しているといわれます。一度自転車に乗れると意識しなくてもすぐ乗れるようになるのは、小脳にインプットされたデータによるものだといわれています。ただ小脳は物覚えが悪く時間がかかるため、すぐには自転車に乗れないのです。

失敗を繰り返して泣いたり転んだりしながら技術を身につけることを最近何かしていますか? 「運動機能が衰えた……」と悩む前に、体を動かして新しいスポーツなどに挑戦してみましょう。ガイドは無謀な挑戦だと思いながらも合気道を始めたり、仕舞を習ったりしています。ぜんぜんうまくなりませんが、自分なりの小さな目標に向かう時間がとても楽しいです。

運動することが楽しく感じるようになると、「アドレナリン」という神経伝達物質が分泌され、疲労感や無気力を改善するそうです。マラソンしているときに疲れを忘れていい気分になる「ランナーズ・ハイ」などがその例です。

読み・書き・計算能力の低下と脳の老化

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若い頃の自己ベストと比較するよりも今できる能力をコツコツと高めることが大切
漢字が書けない、読めない、思い出せない、計算が遅い……などの能力の低下には、脳の前頂葉が関係しています。老眼を理由にして読書をやめてしまったり、計算機に頼って数字を敬遠してしまえば、当然この部分の脳が使われなくなって、小学校のときよりも計算が遅くなったり、大学受験のときよりも漢字が読めなくなるのは当然です。

時間を見つけて読書をしたり、会社の経理書類を暗算で計算したり、ほんの少し工夫すれば特別なことをしなくても大丈夫です。

ちなみにガイドはスーパーで買い物するときに、暗算をしながら手持ちの金額内に納まるように買い物をしています。

さらに脳の学習効果をアップしたいなら、記憶力や学習能力に関係するアセチルコリンという神経伝達物質を多く含んだ大豆製品や、アセチルコリンを増やす働きを持つDHA・EPAなど、青背魚のオイルを食事として摂りいれましょう。

ホルモン力の低下と脳の老化

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アンチエイジングには恋をしてホルモン力をアップするのも大切です!
「恋をするとキレイになって若返る」「ホルモンは若さの泉」などと言われますが、性欲、食欲、ホルモン分泌、自律神経などは、大脳の奥深くにある視床下部、下垂体などが関係しています。その近くには、恐怖心や不安に関係する扁桃体と、匂いや触覚などの本能的な記憶を保存する海馬があります。

私たちの脳は奥深くに行くほど、原始的で本能的なことと関係しており、外側に行くほど高度で知的レベルの高い複雑な情報処理を行っています。

恋をすると本能を司る脳が活発に動いて、その近くにあるホルモン分泌に関係する部分をも刺激し、性ホルモンや成長ホルモンを分泌させて、女性らしさ、男性らしさをアピール。若々しい魅力を放つように、脳に指令がいくのでしょう。

脳のアンチエイジングからみても、やはり恋は一番のエイジングケアのようですね。もし恋する相手が見つからないようでしたら、子供の頃夢中になったこと、好きだった香り(例えばお母さんの手料理の匂いなど)、好きだったおもちゃなどを思い出して、それを身近に置いたりすると、楽しかった子供の頃を思い出して、ときめきでホルモン分泌が活発になるかもしれません。

オキシトシン、別名「母性本能」や「愛情ホルモン」といわれる神経伝達物質が出て、深い愛情を感じることでホルモン分泌も増える可能性があります。子育ても若返りにはとてもいいですし、ペットを飼って育てることも、とてもいいと思います。愛すべき存在を常に身近に置くことも、脳のアンチエイジング法のひとつです。

命にかかわる脳の老化

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脳血管の老化による病気は脳の壊死を招き、運動や言語に障害を起こすことも。早期発見・早期治療を心がけるべき
思考能力の低下、物忘れ、計算ミスなどには脳の病的な老化が隠れている場合もあり、脳の病的な老化の主要なものは次の3つが考えられます。いずれも命にかかわる病気や症状なので、脳ドックや脳神経外科に診てもらう必要があります。

■脳血管の老化
脳血管が老化し、脳梗塞を起こして脳の血流が悪化。その周囲の脳細胞に栄養が行き渡らなくなることによって、物忘れや言語・運動機能に障害を起こしたり、知能が低下することもあります。肥満、高脂肪食、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどがその原因と考えられます。脳血管疾患は、死因の第3位になるほど注意が必要な老化です。

■アルツハイマー型認知症
脳細胞や脳の神経回路が急速に萎縮して、知能の低下、記憶障害、人格の変化などが起こる症状で詳しい原因は解明されていません。現在、日本に約180万人ほどの患者さんがいるといわれます。

■パーキンソン病
脳の細胞同士をネットワーク化したときに、ネットワークを正しく動かす信号のような物質(神経伝達物質)が必要になります。パーキンソン病はドーパミンという神経伝達物質が急激に減ってしまうことで運動機能が衰えてしまう病気で、今のところはっきりとした原因は不明。「落とした荷物を拾おうとしているのにうまく拾えない」というのが典型的なパーキンソン病の症状ひとつです。日本には約10万人ほど患者さんがいるそうです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※個人の体質、また、誤った方法による実践に起因して肌荒れや不調を引き起こす場合があります。実践の際には、必ず自身の体質及び健康状態を十分に考慮し、正しい方法で行ってください。また、全ての方への有効性を保証するものではありません。

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