<目次>
「オリーブ」は平和と幸福のシンボル
オリーブの由来とは?日本でも栽培は可能?
オリーブと聞くと、真っ先に「オリーブオイル」が思い浮かびますよね。実は「オイル(oil)」の語源は、このオリーブに由来しているのだとか。学名の「Olea europaea」は、「油質の」を意味するラテン語「oleosus」と「ヨーロッパの」を意味する「europaea」からきています。
さてこのオリーブ、よく「平和の象徴」とか「幸福を呼ぶ」などと言われますが、これは旧約聖書に由来します。あの有名な「ノアの箱舟」で、───神が起こした大洪水の後、ノアが外の様子を知るために箱舟から放った鳩がオリーブの枝をくわえて戻り、ノアは地上に平和が戻ったことを知った───というくだりあります。ここからオリーブの枝は、ハトと共に平和の象徴とされたのです。
またギリシャ神話では、オリーブの木は知恵の女神アテネによって作られたとされています。古代オリンピックの勝者に与えられる冠がオリーブで作られているのも、この女神アテネにまつわる神話からですね。これにならい、昨年開催されたアテネオリンピックで勝者にオリーブ冠が贈られたことは、記憶に新しいでしょう。
このように神話にも登場するほど古くから人々の生活に活かされてきたオリーブですが、単にオイルを採ったり実を食べることができるというだけではありません。オリーブオイルはコレステロール値を下げる働きのあるオレイン酸を多く含み、 老化防止となるポリフェノールやビタミンEなどの栄養成分も含んでいます。
また実だけでなくオリーブの葉にもポリフェノールの一種オレウロペインや、カルシウム、鉄などの成分が含まれているので、オリーブの葉を使った「オリーブティー」もハーブティーの一つとして楽しまれています。
<<オリーブの基礎情報>>
学名:Olea europaea
別名:olive(英名)
科名:モクセイ科
属名:オリーブ属
性状:常緑高木
開花期:6月頃
原産:地中海地方
花言葉:平和・知恵
【オリーブの栽培・育て方】オリーブの種類
イタリアンに欠かせないオリーブオイルとオリーブの実
オリーブは西アジア、北アフリカが原産とされ、比較的乾燥にも強い性質のためイタリアやスペイン、ギリシャ、トルコといった地域で多く栽培されています。
日本では、明治以降に本格的な栽培が始まりました。その品種は世界では約500種ほどあるとされていますが、日本で栽培が可能な品種はまだあまり多くありません。
現在、日本で入手しやすい品種は、香川県小豆島の特産品にもなっている以下の4種です。
- マンザニロ(Manzanillo)
スペイン原産で、ピクルスやオイルに利用される品種
実つきは良いが、自家不結実性
樹高は低めで、栽培しやすい - ルッカ(Lucca)
オイル用の品種で、自家結実性がある
他の品種の受粉樹としても利用できる - ネバディロ・ブランコ(Nevadillo Blanco)
スペイン原産で、オイルに利用される品種
生育は早く、庭木・観賞用として市場に多く出回っている
自家不結実性だが、他の品種の受粉樹として利用できる - ミッション(Mission)
アメリカから導入された、ピクルスやオイルに利用される品種
バランスの良い樹形から、庭木・観賞用としての需要が高い
また上記4種では、花は上のマンザニロから順に開花しますので、開花期が近い品種を組み合わせるのがポイントです。
【オリーブの栽培・育て方】日本でも栽培可能!鉢植えでの育て方
葉を観賞するも良し、実成りを楽しむも良し…と、人気のあるオリーブ
平和の象徴、そして幸せを呼ぶとされているオリーブは、本来高さ7~8メートルほどまで生長する木ですが、最近は観賞用として樹高1~2メートルくらいのものを鉢植えで楽しむという方が増えています。
冬期※マイナス8度以下に冷え込むような地域では庭植えには向きませんが、鉢植えなら大丈夫。家族の平和と幸せを願って、オリーブ栽培を始めてみましょう!
※品種により耐寒温度が若干異なります。前ページの品種のうち、「ネバディロ・ブランコ」と「ミッション」はやや耐寒性に劣るようです。
【オリーブの栽培・育て方】置き場所
オリーブは日向を好むので、日当たりの良い戸外が最適です。日当たりが悪い場所では充分に生育できませんから、年間を通して日光の当たる場所においてあげましょう。ただし霜や寒風、土が凍るような冷え込みには弱いので、厳寒地では冬は室内の日当たりの良い場所に移します。その場合、暖房器具の温風が当たるような場所は避けましょう。花や実成りを楽しみたい場合は、0度くらいの寒さに当てる必要があるので、無加温の場所を選びます。
その他、オリーブは根が浅く張る性質のため、強風で倒木することがあります。
あらかじめ支柱を立てておいたり、風当たりの強い場所は避けてあげましょう。
【オリーブの栽培・育て方】水やりと肥料
水やりの基本は、鉢土が乾いたらたっぷりとです。オリーブは過湿に弱いので、鉢土が乾いていることを確認してから水やりするようにしましょう。また、水やりのあと鉢底から流れ出た水を、鉢受け皿に溜めておかないように気をつけます。冬の間は、やや乾かしぎみに管理します。肥料は、春3月頃と秋10月頃に化成肥料か固形油粕を適量施します。
【オリーブの栽培・育て方】植え替えと剪定
家庭でオリーブオイルを作るのはムリだけど、ピザにあしらうくらいなら採れるかも
鉢植えの場合、植え付け後1~2年も経つと根が鉢一杯に張ってしまいます。このままにしておくと根詰まりを起こして、生育が悪くなったり葉が落ちたりするので、植え替えが必要になります。
植え替えの適期は春4月頃で、株を鉢から抜いたら軽く根鉢をくずし古根を取り除きます。その後一回り大きい鉢に、水はけの良い用土を入れて植え替えます。
また樹形を整えるために、剪定も必要です。適期は春3月~4月頃で、混み合った枝や徒長枝、不要な枝を間引いて樹形を整えます。
【オリーブの栽培・育て方】殖やす方法
オリーブの繁殖は、挿し木か種まきによります。品種の項で述べたように、オリーブは一品種では実が成りにくいので、種を採りたい場合には異なる品種をもう一本植える必要があります。ただし種から育てた場合、観賞できる大きさになるまで数年を要しますから、一般的には挿し木で殖やすことになります。挿し木の適期は、春先と5~7月の梅雨時になります。1~2年の若い枝を挿し穂にしますが、春に剪定した枝を挿し穂に使っても良いでしょう。
挿し穂用の枝を切ったあとは、乾かさないようすぐに水揚げをさせます。湿らせた挿し木用土を準備し、挿し穂に発根促進剤をつけて挿します。その後は、半日陰で乾かさないように管理します。
【オリーブの栽培・育て方】病害虫
オリーブにつく害虫としては、「オリーブアナアキゾウムシ」、「カミキリムシ(テッポウムシ)」などが挙げられます。どちらもオリーブを食害し、最悪の場合は枯死させてしまうこともあります。どちらも成虫を発見したら捕殺するとともに、スミチオンなどを定期的に散布して防除します。オリーブの枝で作ったリースを玄関などに飾ると、その家に幸福が訪れるとか。あなたも平和と幸福の象徴を、お家で育んでみませんか?
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