パスワードは○万円?
ATMを電話の指示に従いながら、操作を進ませると、たとえば、「次に1から0までの数字の画面が出ましたね? では、パスワードを言いますので打ち込んでください」「パスワードは、1-0-0-0-0-0-0です」「打ち込みましたか? では、最後に、『円』を押してください」と、言われた通りに画面のボタンを押してしまいます。実はそれは、振込金額を打ち込む画面なので、100万円を振り込むことになってしまうわけです!
最後に振込の確認画面が出ても、「はい、ではそれで『はい』のボタンを押したら終了です」となってしまい、まんまと相手の口座に自分の口座からお金を振り込まされたことになってしまうのです。
しかし、国税庁や税務署を名乗る人物が、直接、ATMで振込みの指導をしてくれたと思い込んでいるので、ここまでやっても、まだ、自分が間違って相手に振り込んでしまっているという事実に気がつかない人もいるといいます。ATM操作に慣れていない人、あまり経験のない人なら、逆に自分で返金の手続きができたと爽快感を味わう人もいるかもしれません。
しかし、時すでに遅し! 通帳を確認して初めて、自分の口座に入金があるどころか、税務署や国税庁の人と思い込んでいる見知らぬ相手の口座に、自分の預金を振り込んでしまっていて、残高が減っていることに気がつくことになるのです。
これだけ被害が発生している!
お金を奪われないで |
これまでの不祥事を隠すためというマイナスイメージの振り込め詐欺、いわばネガティブな内容の振込みを要求するのではなく、お金が戻るというプラスイメージ、ポジティブな内容の振込みをさせる、しかも携帯電話を使って、ATM操作をあたかも遠隔操作するごとく、疑いを持たせずにお金を振り込ませてしまうという、巧妙かつ悪質極まりない手口です。
預金を奪われるな!
そもそも、税金の過払いの還付にATMを使うことはありません。ATM操作に慣れていない高齢者を狙った卑怯な手口です。ご自身の母親や祖母など(約7割が高齢の女性が被害者)、もちろん父親や祖父でも、こうした被害に遭わないように、「こういう手口の振り込め詐欺がある。ATMで税金を返金するようなことはないから、絶対に従わないように」と、重々言い伝えておきましょう。「振り込め詐欺集団」は、常に「いかに振り込ませるか」と、次々と振り込ませる新手口を考え出し、実行しています。それに対して、一般市民は日ごろ、自分がそうした被害に遭うとは考えてもいません。この決定的な差は、どうすれば縮められるかというと、報道などの情報に敏感になるだけでなく、預金を奪おうとする悪質な者たちに絶対に負けないという強い意志を持つことです。
家族間での注意喚起を怠らず、不審な手紙や電話には疑ってかかり、誰かに相談する、自分で調べて確かめる、などの地道で慎重な対応をするしかないのです。
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