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マンションで叫び声が聞こえたら通報を! 夜中の出来事

マンションや近隣住居で叫び声が聞こえたらすぐに110番に通報を。事件発生後に、「悲鳴が聞こえていた」「争う物音がした」などと聞くことがあります。誰かが110番通報していたら…と残念に思うことも。通報の大切さを、ある事例から紹介。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

110番に通報する

110番に通報する

事件発生後に、周囲から「悲鳴が聞こえていた」「争う物音がした」などと聞くことがあります。誰かが110番通報していたら、最悪の事態は免れたのでは…と残念に思うことも。悲鳴が聞こえたら、やはり通報したほうがいいと思います。
   

110番通報の決め手:悲鳴が聞こえたら

昔でいえば明け七つ。午前4時ごろ(お江戸日本橋七つ立ち…で知られるように昔の旅人は午前四時に発つのがならわし)のことでした。熟睡していたある若い女性はビクッと緊張して目を覚ましました。一瞬、自分がどこにいるのか分からず暗闇の中で目をこらしました。見ると自宅アパートのいつもの自分のベッドの上。なぜ、目を覚ましたのか?

心臓の鼓動が激しいまま、理由を考えようとしてまた、ハッとなりました。どこからか人の声がする…と、またしても闇夜をつんざく声が聞こえました。
「ひ~~い~~あ~~~、い~た~い~~~~」
そうだ、この叫び声が聞こえたのだった、と一気に目が覚めました。どうやら隣のアパートから聞こえてくるようです。

ドキンドキンと口から心臓が出そうなほど驚いて、考えました。
(人殺し? まさか…でも…)
しかし、男のものらしい悲鳴はまた続きます。
「ひ~~~あ~~~~、や~め~て~~~」
ガバッと彼女は布団をはいでベッドの上に起き上がりました。
(どうしよう。警察に電話したほうがいいかしら)
「う~~~あ~~~」

(何か、リンチでもされているのか、もし殺人事件だったらどうしよう?)
部屋の明かりをつけて、意を決して、彼女は電話に手を伸ばしました。もしそばに悪い人がいて、電話の声が聞こえて自分に被害が及んでも困るので、電話機にささやくように声をひそめました。

「はい~こちら110番です。事件ですか、事故ですか」
110番にかけるとすぐに男の人の声が応えました。少しホッとして、
「あのー、なんか男の人の叫び声が聞こえるんですが」
「男の人の叫び声? どんなことを言ってますか?」
「あの、うーとか、ひーとか、痛いとか。さっきからずっと」
「そちらの場所を教えてください」

そうして一通り、住所などの聞かれたことに応えました。
「すぐに行きますから」
「お願いします」

警察官がやってくるまでの10分ほどの間、緊張したまま過ごしました。パトカーが到着して、8名ほどの警察官がやってきました。そのときはちょうど悲鳴は聞こえてはいませんでした。玄関を開けると、まず警察手帳を示されました。
「どこから悲鳴が聞こえたんですか?」
「隣のアパートのあのあたりから聞こえたんですが」

警察官が二手に分かれて、数人が隣のアパートに行き、そこではないかと思われる部屋の玄関に向かおうとしたそのとき、
「ひ~~、あ~~、い~た~い~~」
と、またしても悲鳴が明け方の空気を切り裂き、警察官らに緊張が走りました。
 

110番通報後、事の顛末

電話による通報をためらわないで

電話による通報をためらわないで

女性は怖さに震えていました。しかし、数分後、明るい表情の警察官たちが戻ってきました。
「いやー、どうもね、お年寄りが混乱していたみたいですね。介護の方がいらっしゃるのですが、制止がきかなかったようで」

なるほど、とその場にいた警察官らも女性もホッと胸をなでおろしました。
「すみません。悲鳴の内容がまるで誰かに暴力かリンチでも受けているような、殺されでもするんじゃないかと思うくらいだったので。すごく怖かったんです。お騒がせして申し訳ありません」
「いやいや、いいんですよ。通報してくれてよかったんです。もし、これが事件だったとしたら、通報してくれなかったらかえって困るくらいなんですから」

「そうですよ。本当の事件でもなかなか通報してくれないで、後で聞き込みをすると、実は悲鳴や物音が聞こえていた、なんて言う人が多いんですよ。通報していただいて、何もなければそれはそれでいいことなんですから」
「むしろね、ご近所の出来事には敏感になっていただいて、怖いとか事件かもしれないってときは、110番してくれたほうがいいんです。確認して事態が分かったほうがお互いに安心できるでしょう」

と、警察官たちが口々に言ってくれたので、女性はやっと落ち着くことができたのでした。そして、「今後も何かあったら、いつでも連絡してください」と、名前を教えてくれたということです。
 

マンションなどで叫び声が聞こえたら110番通報はためらわないで

マンション内や近隣での殺人事件等で、「言い争う声が聞こえていた」「物が倒されるような音がしていた」「すごい物音が30分くらい聞こえていた」と、事件後に近所の人の聞き込みから判明することがよくあります。

確かに、言い争いの声だとただの痴話喧嘩や夫婦喧嘩かもしれず、わざわざ警察に通報などしては、かえって近所づきあいに支障が出るかもしれないと遠慮もあるでしょう。しかし、日常的には考えられない物音や叫び声などには、やはり万が一のことを考えて、110番通報をためらわないことが大切ではないでしょうか。

結果、たいしたことではなかったり、何事もなかったとしても、やはり尋常ではない物音や叫び声がしたら、110番通報をしたほうが安心できるというものです。警察も、こうした通報に対しては出動をいといません。安心、安全な市民生活を送るには、市民からの情報は非常に重要かつ欠かせないものなのです。
110番通報のしかたについてはガイド記事110番って何番だっけ?をご覧ください。

なお、万が一、自分が救助を必要とする際には、聞いた人が通報をためらわないように、確実に救助の要請をするようにしましょう。ガイド記事いざというとき、どう叫べばいいのか? 「助けて」では助からない!?をぜひ参考にしてください。

■以前メルマガで、やはり、私が体験した深夜の出来事を書いていたのですが、奇しくも似た内容ということでしょうか。今後はこういったケースは増えていくのではないかと懸念されます。

■過去のあなたの一票で、「これまでに110番や119番への通報をしたことはありますか?」(2004年2月1~18日)という質問をしたことがあります。

どちらも1回もありません  34%
110番には通報したことがあります   30%
119番には通報したことがあります  17%
110番にも119番にも通報したことがあります  19%

上記のような結果でした。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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