日本音響研究所所長・鈴木松美氏

1941年生まれ。警察庁科学警察研究所、科学技術庁などを経て「日本音響研究所」を設立。ソルボンヌ大学、アダム・スミス大学などで理学・法学・心理学の博士号を取得。現在、日本音響研究所所長、アダム・スミス大学教授。
著書に、「音の犯罪捜査官」徳間書店、 「日本人の声」洋泉社、 「バウリンガル 初めて犬と話した日」竹書房、 最新刊「誰も知らない音の不思議・音の謎」(講談社α文庫)などがある。「バウリンガル」の開発に携わり、イグ・ノーベル賞を受賞。「バウリンガル」は「TIME」誌が選んだ2002年ベスト発明品に選定された。
■日本音響研究所ホームページ

《Contents》
  • 日本音響研究所所長・鈴木松美氏/振り込め詐欺……p.1
  • 録音を習慣に!……p.2
  • 話し方には理由がある/「防犯」は被害を未然に防ぐこと!/関連ガイド記事・関連サイト……p.3


    「音の犯罪捜査官」鈴木松美氏
    「音の犯罪捜査官」鈴木松美氏
    ――これまでいくつもの大きな事件で、鈴木松美氏の分析が重要なポイントになったケースがあることが知られています。1993年の甲府信金女子職員誘拐殺人事件では、誘拐犯からの脅迫電話から犯人の特徴を分析、犯人像を推理されて、見事に事件解決に結びつきました。

    また、1998年フィリピンのアキノ元上院議員が銃撃、殺害された事件では、フィリピン政府から国賓待遇で招致された証人として、音声分析で得た事実を証言されたことにより、判決がくつがえったということもありました。以前、ワイドショーを賑わせた怪音の聞こえる建物で、パニックになった住民らが霊媒師を呼んで除霊したというケース(Vol.2に記述)でも、科学的に音の原因を証明されていました。

    最近では、あの「ウサマ・ビンラディン」の声の鑑定もされていました。まさに「音の犯罪捜査官」という呼び名がふさわしいご活躍です。テレビでお姿を拝見することがありますが、今回は、当「防犯」サイトで、鈴木氏のご研究から防犯に役立つヒントを伺いました。

    振り込め詐欺

    ――さっそくですが、最近の事件といえば、「おれおれ詐欺」あらため「振り込め詐欺」というのがあります。


    そうですね。私のところにも録音テープが持ち込まれて、色々調査しました。


    ――お調べになって、どのような点が特徴としてあげられますか? 一般の方がそうした電話を受けて、「あ、これは振り込め詐欺だ」と気づくようなポイントがありますでしょうか?


    まず、非常に早口だということです。通常、人が話すスピードは1分間に300~350語。NHKのアナウンサーは400語くらいです。ところが、「振り込め詐欺」の電話をかけてくる連中は、判で押したように1分間500語くらいなんですね。


    ――かなり早いですね。


    それからたとえば重要なところ、「お宅のご主人が」「お宅の息子さんが」あるいは「こちらは警視庁の○○ですが」「交通事故」といったようなことを言うときは、1/3くらいのスピードになる。1分間に150~160くらいなんです。


    ――いきなり、そこだけ遅くなるんですか。


    そうです。すると聞くほうは「主人が」「警察」「事故」など、ゆっくり話されたところだけが残ります。


    ――ポイントになるところだけゆっくり話すんですね。なるほど。


    それから、警察官としては言葉遣いが丁寧すぎます。本物の警察官はこんな話し方はしません。もっと乱雑というか、ぶっきらぼうなんですよ。こんな「慇懃無礼」な感じでは話さないものです。


    (ここで実際のおれおれ詐欺のテープを聴かせていただいたが、確かに妙に丁寧な話し方)。
     
  • →録音を習慣に!……p.2
  • →→話し方には理由がある/「防犯」は被害を未然に防ぐこと!/関連ガイド記事・関連サイト……p.3